縛り首の木 (1959年の映画)

縛り首の木 (The Hanging Tree)

『縛り首の木』は、1959年に製作されたアメリカ合衆国の西部劇映画です。辺境の金鉱町を舞台に、新しく町にやってきた医師と、悲劇的な出来事を乗り越えようとする女性の物語が展開されます。人間の欲望、対立、そして困難の中での絆が描かれた作品です。

ストーリー

物語は、謎めいた過去を持つ医師、ジョー・フレイルが、不法行為の末に銃で傷を負った青年ルーンを助ける場面から始まります。フレイルはルーンを伴って、ゴールドラッシュに沸くある町の外れに診療所を開業します。しかし、町にはすでに祈祷師として幅を利かせるジョージ・グラッブがおり、自身の商売の妨げとなる新たな医師の出現を快く思わず、敵意を燃やします。

そんな折、一人の女性、エリザベス・マーラーが町に流れ着きます。彼女は馬車で移動中に盗賊に襲われ、父親を失うという悲惨な出来事を経験していました。町の人々に救出されたエリザベスは、フレイルの手によって手厚い治療を受けます。心身ともに傷ついたエリザベスは、フレイルの世話によって徐々に回復していきます。

回復後、エリザベスはフレイルに心惹かれ、想いを打ち明けますが、フレイルは彼女の気持ちを受け入れようとしません。それでも自立を決意したエリザベスは、所持していたアクセサリーを質に入れ資金を捻出し、フレンチという山師とルーンを雇い、自ら砂金掘りを始めます。彼女の努力は報われ、ついに金鉱を掘り当てることに成功します。しかし、富を手にした矢先、エリザベスの成功を妬むフレンチが彼女を襲います。間一髪で駆けつけたフレイルは、エリザベスを守るためにフレンチを射殺します。

この事件は、フレイルを排除したいグラッブにとって好機となりました。彼は町の住民たちを煽動し、フレイルを殺人の罪で縛り首にしようと仕向けます。フレイルがまさに刑に処されようとしたその時、エリザベスは自身が掘り当てた金と、その金山の権利書を差し出し、フレイルの命を救うための取引を申し出ます。エリザベスの行動により縛り首を免れたフレイルは、自らの救済者となったエリザベスに対し、ひざまずくのでした。

キャスト

本作に出演した主な俳優と役柄は以下の通りです。

ジョー・フレイル：ゲイリー・クーパー（日本語吹き替え：黒沢良） - 腕利きの医師。
エリザベス・マーラー：マリア・シェル（日本語吹き替え：渡辺美佐子） - スイスから来た、困難に立ち向かう女性。
フレンチ（フレンシー・プランテ）：カール・マルデン（日本語吹き替え：島宇志夫） - 機会をうかがう山師。
ルーン：ベン・ピアッツァ（英語版）（日本語吹き替え：関根信昭） - フレイルに命を救われた青年。
ジョージ・グラッブ：ジョージ・C・スコット（日本語吹き替え：北山年夫） - フレイルを敵視する祈祷師。
トム・フラーンス：カール・スウェンソン（英語版） - 町の雑貨商であり銀行も営む。
* エドナ・フラーンス：ヴァージニア・グレッグ（英語版） - トム・フラーンスの妻。

日本語吹き替え版は、1967年4月16日にテレビ朝日系列の『日曜洋画劇場』で初めて放送されました。

もう一度検索