總持寺 (足立区)

總持寺（そうじじ）

東京都足立区西新井一丁目に位置する總持寺は、真言宗豊山派に属し、西新井大師（にしあらいだいし）として広く知られています。寺院の山号は五智山と称し、正式には五智山遍照院總持寺といいます。この寺は、古くから「関東の高野山」とも呼ばれるほどの歴史を持ち、毎月21日には縁日が開催され、多くの参拝者で賑わいます。また、新四国四箇領八十八箇所霊場の第1番札所としても知られています。

存立の背景

總持寺の建立は、空海（弘法大師）が関東を巡る途中で西新井を訪れ、本尊の観音菩薩の霊託を受けたことに始まるとされています。その後、天長3年（826年）に本尊である十一面観音を彫り、寺院が建立されました。江戸時代中期に建てられた本堂は、昭和41年（1966年）に火災に遭遇しましたが、本尊は無事でした。再建された本堂は昭和46年（1971年）に完成し、現在も多くの人々が訪れています。

總持寺は川崎大師などと並び「関東三大師」の一つとされており、毎年の初詣には多くの参拝客が訪れます。境内には弘法大師によってもたらされたとされる加持水の井戸があり、この井戸が本堂の西側にあることが当地名の「西新井」の由来とも言われています。新井薬師も同じ真言宗豊山派の寺院であり、関連する文化的背景を持っています。

寺院の構造

大本堂

大本堂は昭和46年に再建され、内には秘仏の十一面観音と弘法大師の自刻像が祀られています。また、四天王像や阿弥陀三尊像も安置されており、毎日護摩祈祷が行われています。特に毎年10月の第一土曜日には、北斎会が開催され、紙本着色の弘法大師修法図が公開されます。この作品は、現存する葛飾北斎の最大級の肉筆画であり、弘法大師空海による祈祷の様子が描かれています。

三匝堂

次に、三匝堂は明治17年に建立され、足立区指定文化財に指定されています。都内に残る唯一の栄螺堂であり、かつては内部に入ることも可能でしたが、現在は非公開となっています。

山門

山門は江戸後期に建立され、両脇には金剛力士像が祀られています。この山門も足立区指定文化財に含まれています。

奥の院

奥の院は高野山の奥の院を江戸後期に勧請したもので、弘法大師を祀っています。

塩地蔵

山門左手に配置される塩地蔵は、全身に塩をかぶっており、イボを取る際にこの塩を使うことが霊験として知られています。お礼として倍量の塩を返納する習慣もあります。

その他の施設

境内には露仏の湯殿山大日如来坐像、十三重宝塔、水子地蔵、六角観音堂、光明殿（大師前駅に隣接する儀式用の堂宇）など多様な施設が並んでおり、訪問者はそれぞれの見所を楽しむことができます。

文化財

總持寺には価値のある文化財が多く存在します。国宝には平安時代の鋳銅刻画蔵王権現像があり、東京国立博物館に寄託されています。一方、重要文化財には鎌倉時代の絹本著色弘法大師像、絹本著色天台大師像、絹本著色尊勝曼荼羅図、さらには高麗時代の銅鐘（梵鐘）が含まれています。

アクセス

交通手段として、鉄道では東武大師線大師前駅から徒歩3分、東京都交通局日暮里・舎人ライナー西新井大師西駅からは徒歩20分の距離です。また、都営バスや東武バスも利用可能で、「西新井大師前」下車から徒歩1分という近さがあります。様々なアクセス方法から、多くの人々が訪れるこの寺院は、多大な歴史と文化を誇る場所として愛されています。

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