織田信栄

織田信栄の生涯

織田信栄（おだ のぶよし）は、江戸時代中期に活躍した旗本であり、通称は万五郎または式部です。彼は従四位上・左少将の官位を持ち、伊賀守や対馬守としても知られています。

生い立ちと家族

信栄は、旗本・織田信清の長男として生まれ、初名は信廷または信尹でした。伯父にあたる高家旗本・織田信明の養子となったことで、彼は多くの家格と責任を受け継ぎました。

徳川家継との関わり

彼の経歴の中で重要な出来事の一つは、正徳3年（1713年）11月28日に7代将軍・徳川家継に御目見えすることです。この出来事は、彼の政治的立場をさらに強化するきっかけとなりました。

ますます家族の重要性が増す中で、享保8年（1723年）7月23日に信明が隠居したことにより、信栄は家督を相続します。さらに、享保13年（1728年）12月15日には高家に就任し、従五位下・侍従・伊賀守に叙任されるなど、彼の地位は飛躍的に向上しました。

高家の肝煎と昇進

宝暦2年（1752年）には、高家肝煎に任命され、従四位上・左少将という地位まで昇進しました。彼のキャリアはこのようにして順調に進んでいたかのように見えましたが、信栄の経歴には暗雲が立ち込める出来事が待っていました。

明和事件とその影響

明和4年（1767年）8月21日、彼の実子である上野小幡藩主織田信邦が引き起こした明和事件に彼自身が関与したとして、信栄は蟄居と隠居を命じられます。この事件は、彼が山県大弐と親しい関係にあり、小幡藩士吉田玄蕃の処罰について幕府に報告せず対応を内々に行うようにと相談を受けていたことが原因でした。

このため、織田家は高家旗本から普通の旗本に降格されるという結果になりました。この降格は、信栄にとって非常に大きな打撃であったことでしょう。

最期と家族

織田信栄は、明和6年（1769年）7月24日に73歳で死去しました。彼の家族には5男5女があり、特に彼の長男・織田信之、次男・織田信憑、四男・織田信邦、五男・織田信浮といった子供たちはそれぞれ異なる道を歩んでいきました。信栄は正室を持たず、母についての詳細は不明ですが、彼の血筋は後の世代にも影響を及ぼしています。

信栄の家系は、特に長女が松平親章に嫁いだり、三女が酒井政勝に、五女が大久保忠官に嫁いだりと、異なる家系との結盟を通じて家族の影響力を拡大していくことに繋がりました。養子についても、女子の永井尚方が織田信清の娘であったことが記録されています。

織田信栄の生涯は、家族や社会的立場の変遷を経た波乱万丈なものであり、彼の名は江戸時代の動乱の中で色濃く残っています。

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