纒向石塚古墳

纒向石塚古墳の詳細

概要

纒向石塚古墳（まきむくいしづかこふん）は、奈良県桜井市太田字石塚にあり、纒向古墳群の一部として知られています。この古墳は日本の古墳時代において非常に重要なものとされており、特に纒向遺跡内では最古の古墳である可能性が指摘されています。全長は約96メートルで、後円部の直径は約64メートルに達します。古墳は前方後円墳のモデルをなしており、くびれ部の幅は15～16メートル、周囲を囲む濠は約20メートルの幅を持っています。この古墳の特色は、後円部が不整形な円形をしていることと、前方部が三味線の撥のように広がっている点です。また、葺石や埴輪は使用されておらず、墳頂部は第二次世界大戦の影響で削平され、そこには高射砲の台座の跡が見つかっています。

出土遺物

この場所からは多くの遺物が発見されています。特に注目されるのは、弥生時代の末期から古墳時代の初頭にかけての土器です。他にも、祭祀用とされる弧紋円盤や、朱塗りの鶏形木製品、木製の耕作具、建物の部材など多様な木製品が出土しています。これらの遺物は古墳の使用目的やその時代の文化を理解する上で貴重な資料となっています。

築造年代

この古墳の築造時期は、主に古墳時代前期初頭と考えられています。最初は3世紀、特に庄内0式期に起源を持つとされる土器が関連づけられていましたが、後に4世紀前半や中頃にかけての主に庄内1式期、庄内3式期の出土土器の研究が進んだ結果、様々な論者による新たな意見も登場しました。年輪年代測定によっても、古墳の周囲から出土したヒノキの板材の最外年輪は紀元177年であることが示されています。これを基に、古墳は3世紀の第4四半世紀に築かれたと考えられています。ただし、年代測定には誤差があるため、確定的な結論には至っていません。

被葬者

被葬者については、明確な歴史記録や伝承が無いため不明とされています。しかし、古墳の築造年代が倭国大乱の前後にあたるため、『魏志倭人伝』に記載される男王との関係が考察されることがあります。ただし、この仮説に関しての証拠は乏しく、学問的な信憑性は疑問視されています。

まとめ

纒向石塚古墳は、奈良県桜井市に位置し、その築造や出土品の研究を通じて日本の古墳文化の重要な一環を成しています。古墳時代の初期を理解するための欠かせない遺跡であり、その存在は国内外の考古学的な研究にとって価値があるものとされています。今後の研究が新たな情報をもたらすことが期待されます。

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