羅処和島

羅処和島の概要

羅処和島（らしょわとう）は千島列島の中心部に位置する島で、ロシアはこれをラスシュア島（о. Расшуа）あるいはラスシャ島（о. Расшя）と呼び、英語ではRasshuaと表記されます。その地理的な位置は北緯47度46分、東経153度1分にあり、長さ15.5km、幅約6.5km、面積63.2km²の火山島です。この島は北北東から南南西方向に沿った紡錘形をしており、南には摺手海峡を挟んで宇志知島があり、北には羅処和海峡を挟んで松輪島が位置しています。

地形と自然環境

島は南北に2つの高地から成り、その北側には海抜956mの幌茶々登山と、海抜503mの長頭山があります。特に幌茶々登山では噴火口から常に火山ガスが放出されており、山の斜面には硫黄の堆積物が見られ、黄色い風景を形成しています。一方、長頭山は全体的に半月状の美しい形状を持っています。

両高地の間には海抜約100mの台地があり、そこには5つの湖沼があります。中でも大沼から流れる川が東岸に注いでおり、その周辺は急峻な崖や斜面が続くため、水の利用は難しいと言えます。特に南端の南角付近では、摂氏35度の硫黄泉が湧出しており、独特の景観を提供しています。この島は接岸が難しい場所ではありますが、西岸にある村落湾は深さ27mの砂浜が特徴で、唯一の上陸に適した場所として知られています。

生物相と植生

羅処和島の生態系は他の島々に比べて恵まれており、山岳地帯にはスギやハイマツが繁茂しています。海岸部ではフキが育ち、内陸の強風から防護された場所では小型のカバノキ類も見られます。動物は、海岸の断崖ではウミガラスやフルマカモメなどの営巣が観察でき、また島の内陸部ではワタリガラスやタカ、セキレイ、キクイタダキ、湖ではシギ類も確認されます。さらに、島にはキツネや小型の齧歯類も生息しています。

島名の由来

羅処和島の名前はアイヌ語に由来しています。「ルシ・オ・ア（毛皮がそこに豊富にある）」や「ルシュ・オ・ア（獣皮がそこで豊富）」などの説があり、本島の別名「羅須古計」の語源とも言われています。島名の由来は明確ではありませんが、歴史の中で多様な表現が見られます。

歴史的背景

この島の歴史は1700年（元禄13年）に松前藩が幕府に提出した松前島郷帳に「らせうわ」という名前で記録されています。1805年から1806年には継右衛門らがアイヌやロシア人と共に滞在していたことが記録されており、1855年の通好条約によりロシア領となった後、1875年に千島列島全体が日本領として認識されることに至ります。

1883年にはアイヌの人々が色丹島に移住し、以降は農林省による養狐事業のみが行われ、その後島は無人島となりました。現在、羅処和島はロシア連邦のサハリン州の一部として実効支配されていますが、日本政府はこの地域が国際法上の帰属未定地であると主張しています。

結論

羅処和島は自然環境や歴史的背景に恵まれ、多彩な生物相を有しています。その美しい風景と共に、アイヌ文化の影響や歴史的な遺産が色濃く残っており、国内外から注目される特異な地域となっています。

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