羅城門

羅城門（らじょうもん）

概要

羅城門は古代日本の都城に開かれた正門であり、一般的には平城京と平安京の南端に位置する重要な建築物を指します。「羅城」とは、城壁を意味し、これに対して開かれた門が「羅城門」となります。平城京と平安京においてはその存在が確認されていますが、発掘調査によっては具体的な規模や構造の詳細は明らかにされていない部分が多いです。そのため、藤原京のような他の都城では存在しないとされることもあります。

歴史と役割

羅城門は都の正面を装飾する役割を持っていましたが、外国使節の入京が途絶えるにあたり、その重要性を失い、次第に荒廃していきました。近年、九州の大宰府で存在が確認された「大宰府羅城」や、豊臣秀吉が京都に築いた御土居が羅城の特性を備えたものとして挙げられています。また『日本書紀』に記された難波の「築羅城」は、日本における羅城の証拠として扱われていますが、考古学的には詳細が定かでないのが現状です。

読み方と変遷

「羅城門」は元々呉音で「らじょうもん」と読み、漢音では「らせいもん」と表記されていました。「らしょう」や「らいしょう」といった異なる読み方もありましたが、中世以降「らしょう」の読みが一般化し、転訛して「羅生門」とも書かれるようになりました。特に平安京の近くでは、読む形に名前を残す小字や地名が存在することから、その影響が見て取れます。

平城京の羅城門

平城京に位置する羅城門は、奈良県大和郡山市と奈良市の境界近くにあり、その規模はかつては平城宮の朱雀門に匹敵するものと想定されていました。最近の調査によれば、桁行7間で最大の大きさであった可能性も指摘されています。文献には、門前に「三橋」が存在していた記述があり、これが現在も地域の小字名に残っています。発掘調査は1970年代に行われ、門の基壇の一部が確認されていますが、戦災や都市開発で破壊が進み、遺構はほとんど失われています。

平安京の羅城門

平安京の羅城門は、京都府京都市南区にあたります。規模は平城京のものと異なり、文献によると7間または9間との説がありますが、詳しいことはわかっていません。この門は風雨に見舞われて何度も倒壊し、再建の計画が立てられたものの、実際には再建されることはありませんでした。現在の地名「唐橋」は、この羅城門前の溝に架けられた橋に由来しています。

まとめ

羅城門は、古代日本の都城における象徴的な構造物であり、日本の歴史を知るうえで重要な役割を果たした建築物ですが、現在ではその具体的な姿は失われてしまいました。その調査と研究は今も続いており、古代の面影を残す数少ない証拠となるでしょう。

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