羅復仁

羅復仁（ら ふくじん）

羅復仁（1298年 - 1371年）は、明朝初期に活躍した官僚です。字は不明で、本貫は吉州吉水県です。

生涯

若くして学問に励み、その才能を見込まれて陳友諒に仕え、翰林院編修という役職に就きました。しかし、間もなく陳友諒のもとを離れ、九江で朱元璋に謁見し、その側近として仕えることになりました。

朱元璋への帰順

羅復仁は、鄱陽湖の戦いに従軍し、その知略と弁舌を活かして、江西の諸州に降伏を促す役割を果たしました。この功績により、中書諮議に任じられ、さらに武昌包囲戦にも参加しました。

武昌の降伏

武昌攻略において、羅復仁は重要な役割を果たしました。朱元璋は、陳友諒の旧臣であった羅復仁を、陳理への使者として派遣しました。羅復仁は、陳理に会うと涙を流し、朱元璋の降伏勧告を伝え、「降伏しなければ皆殺しになる。城中の民に罪はない」と説得しました。その言葉に心を動かされた陳理は、部下を率いて降伏を決意しました。

明朝での活躍

明朝成立後、羅復仁は国子助教に転じました。高齢であったため、特別に小車に乗る権利を与えられ、宮中への出入りが許されました。その後、ココ・テムルへの使者も務めました。

1368年（洪武元年）には、翰林院編修に抜擢され、1369年（洪武2年）には、兵部主事の張福と共にベトナムの陳朝への使者として派遣されました。羅復仁は、チャンパ王国との停戦を説得し、その任務を全うしました。陳日熞は、洪武帝の詔を受け取ると、羅復仁に金や貝などの贈り物を与えようとしましたが、羅復仁は全て受け取りませんでした。その清廉な態度が伺えます。

1370年（洪武3年）に弘文館が設置されると、羅復仁は劉基と共に弘文館学士に任命されました。羅復仁は、洪武帝に対して率直に意見を述べ、その誠実さから「老実羅」と呼ばれ、名前で呼ばれることはありませんでした。洪武帝が羅復仁の家を訪問した際、その質素な暮らしぶりに驚き、南京城内に邸宅を賜りました。しかし、羅復仁は間もなく致仕を願い出て、故郷に戻りました。その後、再び呼び戻され上京し、江西の秋の収穫減少を報告しました。3ヶ月間南京に滞在した後、故郷に帰りました。

死去

1371年（洪武4年）4月、羅復仁は74歳で亡くなりました。

人物

羅復仁は、学問に優れ、弁舌も巧みでした。また、非常に誠実で、清廉潔白な人物でした。その人柄は、洪武帝からも深く信頼され、「老実羅」という愛称で親しまれました。

脚注

羅復仁の孫には羅汝敬がいます。

参考文献

* 『明史』巻137 列伝第25

もう一度検索