羅文藻

羅文藻（ラ・ブンソウ）：中国人初の司教、その生涯

羅文藻は、清代に生きたカトリックの司祭であり、中国人初の司教として歴史に名を刻んでいます。字は汝鼎、号は我存と称しました。

入信と叙階

1633年、ドミニコ会宣教師ホアン・モラレス神父とフランシスコ会アントニオ・デ・サンタマリア・カバレロ神父が福安で布教活動を行っていた頃、羅文藻はすでに教会の求道者でした。1633年から1640年の間に、カバレロ神父から洗礼を受け、洗礼名「グレゴリウス」を授与されました。これは、彼の属する修道会の省名「聖グレゴリウス」を記念したものです。その後、羅文藻はカバレロ神父に従って伝道師となり、南京での布教活動を試みましたが失敗。再び福建に戻ります。1636年には、カバレロ神父と共に台湾で布教活動に従事し、その後、福建から北京へ。イエズス会士アダム・シャールによって朝鮮への宣教派遣が計画されましたが、北京での迫害に遭い、福安に戻り、マカオへ流刑となりました。

1639年、中国各地で迫害が発生。羅文藻はカバレロ神父と共にフィリピンのマニラへ。1650年にドミニコ会に入会し、中国とフィリピンを行き来しながら教務を助け、マニラの聖トマス学院で神学と哲学を学びました。1654年、剃髪式、侍者、副助祭、助祭と次々に叙階され、同年7月4日にはマニラのポブレーテ司教によって司祭に叙階されました。翌年には故郷の福建に戻っています。

迫害と司牧

1664年、楊光先による迫害が始まり、翌年には全国の宣教師が広州に監禁される中、羅文藻神父は唯一自由に行動することができました。1665年から3年間、彼は中国全土の教務を一人で支え、福建、浙江、江西、広東、山西、河北、山東、江蘇、安徽、湖南、四川の各省を奔走しました。その功績は大きく、約5千人の成人に洗礼を授けました。この間、各地の司教や神父は、教皇に羅文藻を司教に推薦する意見書を提出しました。

1673年、教皇庁福音宣教省は特別会議を開き、羅文藻をバチカンの代牧に任命するかどうかを議論。同年10月には、中国人ドミニコ会士である羅文藻を司教とし、教皇庁直属の代牧として派遣することを教皇に求める決議をしました。1674年1月4日、教皇クレメンス10世は羅文藻を南京代牧に任命し、河北、河南、陝西、山東、山西、そして朝鮮の教務も兼務させました。

委任当初、羅文藻は辞退を希望し、1677年にはシャム（タイ）での司教叙階の際に辞退の手紙を送ろうとしましたが、航路が遠く、司教からの返信は福安に届きませんでした。最終的に辞退は認められず、叙階も困難を極めましたが、1679年に教皇インノケンティウス11世が再び聖座の意向を表明し、羅文藻は委任を受託しました。教皇の任命状が遅れる中、1685年、フランシスコ会のベルナルディヌス・デ・ラ・キエザ司教が中国に到着し、同年4月8日に羅文藻は広州で司教叙階を受けました。

晩年

1688年8月1日、羅司教は南京で3人の中国人イエズス会士（呉漁山、劉蘊徳、万其淵）を司祭に叙階しました。同年3月29日、教皇庁福音宣教省は後継者となる司教を自由に選ぶ権利を羅司教に与えましたが、彼は中国人神父ではなく、イタリア人のジュアン・フランシスコ・デ・レオニッサ神父を後任に推挙しました。1690年、教皇庁は北京と南京に独立した司教区を置くことを発表し、羅文藻は南京教区の司教に就任しました。1691年2月27日、南京でその生涯を閉じました。

記念

中華民国（台湾）の高雄市には、彼の名を冠した文藻外語学院があります。

羅文藻主教は、その生涯を通して信仰を貫き、困難な状況下でも教務を支え続けた人物として、今もなお多くの人々に敬意を払われています。

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