羊飼いの礼拝 (マンテーニャ)

『羊飼いの礼拝』（伊: Adorazione dei pastori）は、イタリア・ルネサンス期の巨匠、アンドレア・マンテーニャが1450年から1451年にかけて制作した板上のテンペラ画です。現在はニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵されています。

作品の歴史

この作品は、マンテーニャの初期の作品とされており、1450年から1451年に画家がフェラーラに滞在していた際、ボルソ・デステによって依頼された可能性が指摘されています。元々は板絵でしたが、後にカンヴァスに移され、右端の小さな部分が失われています。

1586年のマルゲリータ・ゴンザーガ・デステの所持品目録に「プロセピオ・デ・アンドレア・マンテーニャ」（アンドレア・マンテーニャによるキリスト降誕の場面）として記載されている可能性があります。1603年までにはアルドブランディーニ枢機卿の所有となり、ヴィラ・アルドブランディーニに保管されました。その後、パンフィーリ家、ボルゲーゼ家と所有者が変わり、1792年には画家であり画商でもあったアレクサンダー・デイによってロンドンに運ばれて売却されました。

その後、ウィリアム・ブキャナンがヘレフォードシャーのリチャード・ペイン・ナイトに売却、ナイトの最後の相続人はジョセフ・デュヴィーンに売却しました。1925年にはニューヨークのデュヴィーンからクレアレンス・マッケイに購入された後、匿名の寄贈者によってメトロポリタン美術館に寄贈されました。

作品の構成

場面は屋外に設定されています。聖母マリアが中央に位置し、崩れかけた壁の前の石が散乱する場所に跪き、幼子イエス・キリストを礼拝しています。右側には眠っている聖ヨセフがおり、左側には二人の羊飼いが祈りを捧げています。聖ヨセフが眠っている姿は、聖母子の保護者としての役割を示唆しているのかもしれません。聖ヨセフが寄りかかっている木の残骸には一本の枝が実をつけていますが、これはキリストの誕生によって自然が再生するという神秘的な意味を表しています。

幼子イエスの4分の3正面向きの描写はマンテーニャの特徴的なスタイルです。聖母の周りには12人の智天使が雲の上に現れ、幼子を抱いています。聖母の後ろには、イエスが生まれた朽ちかけた厩舎の板が描かれ、右側には2つの険しい山に囲まれた広い風景が広がっています。さらに背景には、イエスの誕生を告げる天使に会う3人の羊飼いが描かれています。磔の木に似た大きな木は、イエスの受難を予感させます。

キリスト降誕の場面に必ず描かれる牛は、伝統的に無言の証人として描かれています。ロバは厩舎の入り口の暗闇の中に確認できます。編み枝細工の柵にぶら下がっている目立つ瓢箪は、復活と巡礼を象徴するキリスト教のシンボルです。

作品の特徴と影響

遠近法の欠陥から、この作品の制作時期は、マンテーニャがオヴェターリ礼拝堂で制作したフレスコ画『聖ヤコブの生涯』（1448-1450年）に近い時期とされています。細部へのこだわりは、マンテーニャがエステ家のコレクションで学んだフランドル派の影響によるものとされています。マンテーニャは、ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの作品を直接知っていた可能性もあります。特に、皺やその他のリアルなディテールによって、羊飼いたちのグロテスクな描写は、北ヨーロッパの作例からの影響を強く示唆しています。

参考文献

La Grande Storia dell'Arte - Il Quattrocento, Il Sole 24 Ore, 2005
Kleiner, Frank S. Gardner's Art Through the Ages, 13th Edition, 2008
* Manca, Joseph. Andrea Mantegna and the Italian Renaissance, 2006

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