美利河ダム

美利河ダム（ぴりかダム）

美利河ダムは、北海道瀬棚郡今金町の美利河に位置し、後志利別川本川の上流部に建設されたダムです。このダムは国土交通省北海道開発局函館開発建設部によって管理されており、後志利別川本流で唯一のダムとなっています。ダムの構造は重力式コンクリートダムとロックフィルダムを組み合わせた「コンバインダム」であり、堤頂長は日本一の1480メートルを誇ります。また、ダムの高さは40メートルで、ダム湖は「ピリカ湖」として知られています。

沿革

美利河ダムの建設は、後志利別川総合開発事業の中核として1975年に開始され、1991年に完成しました。このダムの主な目的は洪水の調整や多目的な水利用、灌漑、そして水力発電です。美利河ダムは、基盤が複雑な地質条件の下で建設されたため、このプロジェクトには多くの新しい技術や工法が導入されました。その成果として、ダムは1991年に土木学会賞を受賞しました。この受賞は、北海道開発局にとって初の受賞でありながら、ダム開局40周年を祝う重要な出来事でもあります。

環境への配慮

水質の維持

美利河ダムが流れる後志利別川は「日本一の清流」として認定されるほど水質が優れていますが、ダム建設による水質悪化が懸念されていました。しかし、ダム完成後のBOD値は平均0.6ppmであり、優れた水質が保たれています。

バイパス型魚道

ダムはサクラマスなどの魚の回遊に影響を与える可能性が指摘されたため、魚道が設置されました。この魚道はダム湖を迂回し、全長6kmの規模で、そのうち2.4kmは2005年に完成しました。この魚道は多自然型（部分的に階段式）であり、中には水中の魚を観察できる窓が設けられています。また、魚道の長さは2005年の時点では日本一でした。

土木施行に際しては、魚道の効果に疑問の声も上がりましたが、実際の調査と改良が進められています。ダム直下での魚の遡上を促進するため、特殊な流路設計や放流量の調整が行われています。

さらに、ダム湖へ流入する河川から魚を誘導するための分水施設も今後改良が計画されています。また、そこで得た知見は、天塩川水系にあるサンル[[ダム]]の魚道設置に役立てられる予定です。

周辺情報

美利河ダムは道央自動車道の国縫ICから国道230号を経て、美利河峠を越えたところにあり、車で約10分の距離です。周辺には美利河温泉があり、ダムの近くには公園も整備されています。ダムの建設中に出土したピリカ遺跡やピリカカイギュウは、近隣のピリカ旧石器文化館で見ることができます。

美利河ダムはそのダムの規模や水質管理、魚道の設置において日本のダム建設における重要なモデルケースとなっており、今後も環境保全に対する取り組みが注目されています。

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