美加マドカ

アイドルストリッパーからスナック経営者へ：美加マドカの生涯

岐阜県岐阜市出身の美加マドカさんは、1963年3月9日生まれ。キリスト教系の女子高卒業後、喫茶店で働いていた彼女は、ある日、ストリップ業界に誘われ、1982年、神戸のストリップ劇場「新劇ゴールド」でデビューしました。155cmという身長、抜群のプロポーション、そして魅力的な個性で、瞬く間に人気を博します。

1983年9月には写真誌『FOCUS』で紹介され、知名度はさらに上昇。興行は当初の予定を大幅に超える盛況となり、東京、大阪、神戸にファンクラブが設立されるなど、社会現象を巻き起こしました。大学にもファンクラブが作られ、全国各地から熱狂的なファンが殺到するなど、「アイドルストリッパー」の先駆け的存在となりました。

ストリップダンサーとしての活動と並行して、美加マドカさんは歌手としても才能を発揮します。レッスンを受けることなくレコーディングを行い、1984年3月には歌手デビュー。六本木のライブハウス「SPATS」でライブを行い、その独特の個性で観客を魅了しました。

その後、独立して事務所を設立。1985年6月には、女性2名、男性2名を加えた「マドカ一座」を結成し、「面白スーパーストリップ」と称した独自のショーを全国各地で展開。連日満員の盛況を収めました。劇場公演だけでなく、キャバレー出演、雑誌グラビア、テレビやラジオ出演など、多方面で活躍し、マスコミの注目を集める存在となりました。本人も「寝る間もないほど仕事が続き、週のうち2日は徹夜でした」と語るほど多忙な日々を送っていました。

1988年には、ジャズサックス奏者の坂田明氏プロデュースによる2枚目のLPをリリース。前作が話題性重視の作品だったのに対し、こちらは本格的な音楽性を追求した自信作となりました。この頃から、全国のライブハウスでのコンサート活動も増加していきました。深夜番組『11PM』の性風俗部門でイレブン大賞を受賞するなど、その人気は不動のものとなりました。また、報知新聞（関東地区駅売りのみ）でエッセイ『本日はセイテンなり』を連載するなど、多様な活動で才能を発揮しました。

当時のストリップ界では、客を舞台に上げて本番行為をさせる「まな板ショー」が常習化していましたが、美加マドカさんは「本番はやらない」ことを売りにし、独自のスタイルを貫きました。

1989年5月、浅草ロック座でのゴールデンウィーク特別公演を最後に、美加マドカさんは芸能界を引退します。引退の理由は、「華のあるうちに終わりたかった」ことと、「息子を身ごもったため」だと語っています。相手は既婚者であり、彼女はシングルマザーとして子育てを選びました。

引退後は、岐阜市の歓楽街・柳ヶ瀬でスナック「ティアラ」を経営しています。開店当初は美加マドカの名前を伏せて営業していましたが、10周年記念で坂田明氏を招いた際に、その関係性が話題となり、自身の過去を公表せざるを得なくなりました。これを機に定期的にディナーショーを開催し、「照明や音響はプロにお願いし、ゲストもお呼びしているのでショー自体は赤字ですが、マドカも頑張ってるな、と喜んでいただければ」と語っています。

2013年には、新宿のシアターPOOでトークショー『昭和ストリップノスタルジア〜あの日の化粧前〜』を行い、往年のファンを沸かせました。映画、テレビドラマ、ビデオ、ミュージカルなどにも出演し、写真集や手記も出版するなど、多岐にわたる活動で、華やかな時代を築いた美加マドカさん。その人生は、エンターテイナーとしての魅力と、たくましい生命力に満ち溢れています。現在もスナックで活躍する彼女の姿は、多くの人々に勇気を与え続けています。

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