美浜町図書館

美浜町図書館

美浜町図書館は、愛知県知多郡美浜町にある公共[[図書館]]です。2015年度末の時点で15万冊を超える蔵書と年間約20万冊の貸出数を誇り、一人当たりの蔵書数、貸出冊数、資料購入費のいずれも愛知県平均を大幅に上回っています。これは、美浜町が教育・文化に力を入れていることの証左と言えるでしょう。

歴史

戦前

美浜町における図書館の歴史は古く、1923年（大正12年）には、現在の美浜町南西部に位置する野間村に、知多郡で初の村立図書館となる野間村立奥田図書館が開館しました。この図書館は、地域住民の学習意欲を支える重要な役割を果たしました。

開館前

1999年（平成11年）当時、町内には5つの[公民館]]があり、合計約2,000冊の図書が所蔵されていました。その後、美浜町出身の医師である皿井進氏からの寄付をきっかけに、図書館と生涯学習センターを併設した複合施設の建設が計画されました。1998年（平成10年）には美浜町生涯学習基本構想が策定され、設計コンペの結果、名古屋市の国分設計が設計者に選ばれました。1999年9月には複合施設の基本設計が完了し、2000年（平成12年）から三井建設・河和建設[[共同企業体]によって建設工事が進められました。

この複合施設は、武道家の藤平光一氏によって「心育館」と命名されました。これは、幅広い心と教養を育んでほしいという願いが込められています。心育館の正面玄関前には、藤平光一氏の揮毫による石碑と、彫刻家の西川吉彦氏によるモニュメントが設置されています。2001年（平成13年）10月には施設が完成し、利用カードの申込受付が開始されました。竣工式には、ニール・フック駐日英国総領事も出席し、記念植樹が行われました。

開館後

2002年（平成14年）4月2日に美浜町図書館が正式に開館しました。総工費は約9億4500万円。心育館は鉄骨造一部鉄筋コンクリート造の2階建（一部3階建）で、延床面積は3,108m²、そのうち図書館部分は2,218m²です。1階が図書館、2階が生涯学習センターとなっており、図書館の開館時の蔵書数は52,151冊でした。図書館の収容能力は、開架が10万冊、閉架が6万冊、合計16万冊です。

図書館の開館にあたっては、知多半島の歴史や文化に関する資料、そして美浜町出身で日本人として初めてイギリスに上陸した音吉に関する資料などが重点的に収集されました。また、図書館が市街地から離れているため、開館と同時に市街地と図書館を結ぶコミュニティバスの運行が開始されました。開館に先立ち、職員は全国各地の図書館を視察し、特に図書館先進地として知られる滋賀県の図書館を参考に、子ども向けの読み聞かせや腹話術、手品などのイベント、大人向けの落語などのイベントを開催しています。2003年度の住民1人あたり貸出点数は9.4点と、全国平均の5.18点を大きく上回り、愛知県内でもトップクラスの貸出数を誇りました。

2006年（平成18年）10月12日には、延べ貸出冊数が100万冊に達しました。100万冊目を借りたのは、冒険家の長江裕明氏でした。2006年度の貸出冊数は約22万冊で、全国の人口規模が同程度の自治体の中で20位以内に入りました。2007年度の利用者数は11.4万人で、利用カードの登録者数は人口の50%を超えました。

2010年（平成22年）3月24日には、美浜町にキャンパスを置く日本福祉大学附属図書館と協力協定を結び、両館の資料の相互貸借を円滑化させました。美浜町図書館は約12万点の一般書や地域資料を所蔵し、日本福祉大学附属図書館は約55万点の社会科学の学術書などを所蔵しています。日本福祉大学附属図書館本館には、約48万点の資料があり、子ども発達学部があることから絵本も充実しています。2010年9月には、延べ入館者数が100万人を超えました。

2014年（平成26年）11月には、美浜町出身の実業家である野田豊秋・まさ枝夫妻の寄付により、大活字本や高齢者向けの本を集めた野田文庫が設置されました。開館15周年を迎えた2016年（平成28年）には、公募によってマスコットキャラクター「美かん君」（みかんくん）が誕生しました。同年7月には、ヤングアダルトコーナーが「Teen's」にリニューアルされました。

立地・施設

美浜町は知多半島の南部に位置し、美浜町役場のある旧河和町は知多湾岸（東岸）に、日本福祉大学美浜キャンパスのある旧野間町は伊勢湾岸（西岸）にあります。町の中央部には知多丘陵と呼ばれる丘陵地帯があり、両岸から等距離の丘陵に美浜町総合公園が設置されています。美浜町総合公園には、心育館のほかに、美浜町総合公園体育館、美浜町総合公園グランド、美浜町総合公園テニスコートがあります。

図書館は、河和地区・野間地区それぞれの市街地から離れており、最寄りの名鉄河和線河和駅から約3kmの距離があります。このため、2002年（平成14年）4月の図書館開館に合わせて、コミュニティバス「巡回ミニバス」の運行が開始され、両地区から公共交通機関でのアクセスが確保されています。

心育館の館内は、1階が2,218m²の図書館、2階が612m²の生涯学習センターで構成されています。生涯学習センターの研修室からは、図書館のフロアを見下ろすことができます。図書館内は「V」字型になっており、入口近くの中央部にサービスデスク、入口から向かって左側に一般書フロア、右側に児童書フロアが配置されています。閲覧席は、書架の外側（窓際）に集中的に配置されています。

利用案内

知多半島5市5町（美浜町、東海市、大府市、知多市、半田市、常滑市、東浦町、阿久比町、武豊町、南知多町）に在住、在勤、在学の方、または愛知県在住の方であれば、館外貸出を利用することができます。2014年度の貸出者数は44,785人でしたが、そのうち73%にあたる33,609人が美浜町在住者、15%にあたる7,088人が南知多町在住者、4%にあたる1,825人が常滑市在住者、4%にあたる1,796人が武豊町在住者でした。南知多町在住者の中では、内海地区の利用者が3,522人と最も多くなっています。

2002年（平成14年）の開館当初の開館時間は、平日は「10時-20時」、休日は「10時-18時」でした。閉館時間を20時としたのは、愛知県の町立図書館では初めてのことでした。現在の開館時間は、平日・休日ともに「10時-18時」となっています。

美浜町図書館は、地域住民の学習活動を支え、文化的な活動を推進する上で重要な役割を果たしています。今後も地域に根ざした図書館として、さらなる発展が期待されます。

もう一度検索