美空ひばり物語

美空ひばり物語

『美空ひばり物語』は、1989年12月30日にTBSテレビ系で放送された、美空ひばりの生涯を描いたスペシャルドラマです。このドラマは、作家・上前淳一郎の小説『イカロスの翼』を原作としており、美空ひばり本人が生前にドラマ化を唯一許可した作品としても知られています。

概要

番組では、美空ひばり役を演じた岸本加世子のインタビューや、子役オーディションの様子、ドラマのメイキング映像なども放送され、ドラマ本編だけでなく、制作の裏側にも焦点が当てられました。ひばりの人生を多角的に捉え、彼女の魅力を余すところなく伝えています。

制作の経緯

脚本を担当した佐伯俊道は、1983年に脚本家デビューしたばかりの頃に上前の『イカロスの翼』に出会い、その内容に深く感銘を受けました。佐伯は、ひばりサイドにドラマ化を打診したところ、「そんな暗い話が成立するの？まともにやりたい人はいないと思うからどうぞやってちょうだい」という意外な返答を得ます。その後、企画は各映画会社やテレビ局に持ち込まれますが、視聴率や予算の問題から難航しました。

1989年6月24日に美空ひばりが亡くなると、各テレビ局はこぞって追悼番組を企画しましたが、ひばりサイドが生前にドラマ化を許可していたのは、佐伯が提出した『イカロスの翼』の企画のみでした。各局が高額な制作費を提示する中、最も高い金額を提示したTBSが制作を担当することになりました。この経緯からも、本作が特別な作品であることが窺えます。

放送時間と休止番組

放送時間は、土曜日の19:00から22:54までという大型編成でした。このため、通常放送されていた『まんが日本昔ばなし』、『クイズダービー』、『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』、『日立 世界・ふしぎ発見!』、『土曜ドラマスペシャル』といった人気番組が休止されました。

キャスト

豪華キャストが集結し、美空ひばりの生涯を彩りました。主なキャストは以下の通りです。

岸本加世子
森田健作
哀川翔
布川敏和
嶋大輔
西川弘志
陣内孝則
小林幸子
美輪明宏
五木ひろし（特別出演）
ビートたけし
山城新伍（特別出演）
田村高廣（特別出演）
樹木希林

その他にも、多くの俳優、タレント、文化人が出演し、物語を盛り上げました。子役から大御所まで、幅広い世代の豪華な出演陣もこのドラマの見どころの一つです。

スタッフ

数々の名作を手掛けた実力派スタッフが集結し、ドラマを支えました。

企画：元村武、長良じゅん、樋口祐三
プロデューサー：横山和幸、進藤貴美男、片島謙二
原作：上前淳一郎『イカロスの翼』
脚本：佐伯俊道、伊藤俊也
音楽：菊池俊輔
監督：伊藤俊也

その他、撮影、美術、照明、録音、編集など、各分野のプロフェッショナルが制作に携わりました。

エンディングテーマ

エンディングテーマには、美空ひばりの代表曲の一つである『川の流れのように』が使用されました。作詞は秋元康、作曲は見岳章が担当。この曲が、ドラマの感動をさらに深めました。

作品の意義

『美空ひばり物語』は、単なる伝記ドラマではなく、美空ひばりの人間としての側面や、彼女の生き様を深く掘り下げた作品です。彼女が抱えていた苦悩や葛藤、そして歌への情熱を、豪華キャストとスタッフが、丁寧に描き出しています。ひばりのファンはもちろんのこと、多くの人々の心に深く残る作品として、今もなお語り継がれています。

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