義湘

義湘（ぎしょう）について

生涯の概要

義湘（ウィサン、의상、625年 - 702年）は、新羅の僧侶であり、華厳宗の創始者として知られています。彼はまた、海東華厳宗の祖とされており、新羅における仏教の発展に大きな影響を与えました。義湘の生涯は、貴族の家に生まれ、出家から始まり、教学を広めるための留学と帰国、そして多くの門弟を育てる過程で構成されています。

出家と留学

義湘は644年、19歳のときに慶州の皇福寺で出家しました。僧侶としてこの道を歩み始め、650年には同じ学びをした元暁とともに唐へ留学する旅に出ましたが、高句麗の国境付近での挫折により、その道が閉ざされました。しかし、11年後の661年、義湘は再び唐に渡り、そこで唐華厳宗の第二祖である智儼に学びました。この留学は彼の仏教の教えを深める重要な経験となりました。

新羅への帰国と教学の普及

671年、義湘は新羅に帰国します。帰国後、676年に文武王の勅命を受けて浮石寺を建立しました。これは新羅における華厳宗の根本道場となりました。その後、海印寺・玉泉寺・梵魚寺・華厳寺など、いわゆる「華厳十刹」で教学を広める努力を重ね、多くの弟子を育てました。彼の主な弟子たちは「義湘十哲」と称され、悟真、智通、表訓、真定、真蔵、道融、良圓、相源、能仁、義寂といった名僧たちが名を連ねています。

最後の年月と入寂

義湘は702年、78歳で最期を迎えました。彼の入寂は新羅の仏教界において大きな出来事であり、彼の教えはその後も長く受け継がれていきました。日本でも、義湘は華厳宗の祖師として評価され、鎌倉時代の絵巻物『華厳宗祖師絵伝』に描かれるなど、その影響は海外にも広がっています。

著作物

義湘は多くの著作を残しています。その中には、『華厳一乗法界図』や『華厳一乗発願文』をはじめ、『入法界品抄記』、『華厳十門看法観』、さらには『阿弥陀経義記』など、散逸してしまったものも含まれます。これらの著作は、彼の思想や信仰に触れるための貴重な資料となっています。特に『白華道場発願文』の一部は現存しており、彼の理念を知る手がかりとなっています。

義湘の生涯は、彼が新羅における仏教の発展に多大な貢献をしたことを示しています。彼の教えや業績は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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