元暁

元暁（がんぎょう）について

元暁（またはげんぎょう、ハングル表記：원효、本名：薛思、諡号：和諍国師）は、617年から686年にかけて新羅に生まれた華厳宗の僧侶であり、浄土教の先駆者でもあった。彼の仏教思想や著作は当時の宗教界に新たな風を吹き込み、後代に渡って多大な影響を与えた。元暁の俗姓は薛、名は誓幢もしくは新幢とされている。

生涯と学び

元暁は新羅の押梁郡（現在の慶尚北道地域）で生まれ、29歳の時に皇龍寺で出家した。この時、彼は興輪寺の法蔵から華厳宗の教えを学び、教学や論争に際立った才能を示した。

彼の経歴には、650年に義湘と共に唐に渡ろうとしたが、高句麗軍に阻まれて失敗するエピソードがある。661年には再度唐への渡航を試みるが、途中の党項城の古塚で喉の渇きを覚え、思わず枕元にあった水を飲み込んでしまう。後にその水が骸骨に溜まったものであることに気付いた彼は、「真理は遠く離れたところにはない。目の前にあったものがどれほど不快であるかを知った今、世の中への認識は心の中にこそ存在する」と悟って故郷へと戻った。

その後、元暁は華厳学の研究に没頭し、240巻にも及ぶ著作を残した。

文化的影響

元暁はある日、街中で「誰許沒柯斧 我斫支天柱」と歌った。この歌の意味を理解できたのは武烈王だけだったため、彼は未亡人である瑤石宮の公主を元暁に嫁がせ、彼女は薛聡を生むこととなる。元暁はその後、「小姓居士」と名前を変え、特に庶民へ仏教を広めるために「無碍」の名を持つ瓢箪を用いて歌を作り続けた。

弟子の審祥が日本に華厳宗を伝えたことによって、東大寺など南都の寺院でもその教えが受け入れられるようになった。高山寺に伝わる『華厳縁起』では、元暁に関する多くの伝説が語られており、彼の存在は深く根付いている。

著作リスト

元暁の業績は多岐にわたる。主な著作には以下のようなものがある：

• - 『大慧度経宗要』
• - 『法華宗要』
• - 『華厳経疏』
• - 『大涅槃経宗要』
• - 『解深密経疏』
• - 『大乗起信論疏』
• - 『大乗起信論別記』
• - 『大無量寿経宗要』
• - 『阿弥陀経疏』
• - 『弥勒上生経宗要』
• - 『菩薩瓔珞本業経疏』
• - 『梵綱経菩薩』
• - 『戒本私記』
• - 『菩薩戒本持犯要記』
• - 『中辺分別論疏』
• - 『大乗六情懺悔』
• - 『発心修行章』
• - 『十門和諍論』
• - 『二障義』
• - 『判比量論』
• - 『金剛三昧経論』
• - 『元暁大師全集』(寶蓮閣、1979年発行)
• - 『遊心安楽道』(近年の研究で偽撰書の可能性が指摘されている)

元暁の著作は、仏教教育の重要な基盤を築き、それ以後の宗教的思想に多大な影響を及ぼした。彼の教えは今なお研究され、注目され続けている。

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