羽下晃生

羽下晃生：F1を舞台に活躍する日本の自動車技術者

羽下晃生氏は、1966年生まれの日本の自動車技術者、レーシングカーデザイナーです。静岡県静岡市出身。幼少期のスーパーカーブームと、1976年のF1日本グランプリがきっかけで自動車、そしてF1の世界に魅せられました。高校時代はオートバイレーサーを目指していましたが、事故を機に技術者への道を志します。

トムス時代：レーシングカー開発への第一歩

東京学芸大学機械工学科卒業後、日本のモータースポーツ企業トムスに入社。エンジニア、メカニックとして経験を積み重ね、1993年にはフォーミュラ3（F3）用シャシー「トムス・033F/034F」の設計に参画します。その後、トムスイギリス法人であるトムスGBに移り、イギリスでレーシングカー開発に携わりました。この期間に培われた経験が、後のF1での活躍の礎となります。

F1時代：日本人初のチーフデザイナー

1998年、トムスGBがアウディに売却されたことを機にトムスを退社し、ジョーダン・グランプリに移籍。ジョーダン・199の冷却系や排気系の設計からキャリアをスタートさせ、徐々にマシン全体の設計に携わるようになります。MF1レーシング、スパイカーF1を経て、2007年にフォース・インディアとなったチームでは、プロジェクトリーダー（デザインディレクター）に就任。日本人として、初めてF1コンストラクターでチーフデザイナー相当の役職に就いた歴史的な人物となりました。

フォース・インディアでは、2チームのデザインチームが1年交代でマシンの設計を担当する体制の中で、羽下氏はリーダーとして活躍。VJM01以降、同チームのF1マシンの開発を牽引しました。2018年からは、チームを引き継いだレーシング・ポイント（後のアストンマーティンF1）でもデザインディレクターを務め、チームの技術開発の中核を担いました。2020年シーズン、開発に携わった「レーシング・ポイント RP20」は、第16戦サヒールGPでチーム初優勝を飾るという偉業を達成。羽下氏の設計技術の高さを証明する結果となりました。

人物像：レース現場より設計現場を重視

羽下氏は基本的にファクトリーに常駐し、イギリスGPなど、ファクトリーの近くで開催されるレースを除き、レース現場にはほとんど姿を見せません。そのため、メディアへの露出は少ない人物として知られています。しかし、その影では、数々のF1マシンの開発に携わり、日本の自動車技術界に大きな貢献を果たしているのです。

まとめ：F1における日本の技術力の象徴

羽下晃生氏のキャリアは、日本の自動車技術、特にF1における設計技術の高さを世界に示すものです。レース現場での華々しさよりも、設計現場での地道な努力を重視する彼の姿勢は、多くの技術者にとって、目標となる存在と言えるでしょう。彼の技術者としての情熱と、F1マシン開発への貢献は、これからも日本のモータースポーツ界に大きな影響を与え続けることでしょう。

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