羽村取水堰

羽村取水堰について

羽村取水堰（はむらしゅすいせき）は、東京都羽村市に佇む多摩川の堰です。正式名称は東京都水道局羽村取水堰で、玉川上水の重要な取水口として機能しています。この堰は、東京都水道局によって運営されており、その歴史は1653年にまで遡ります。

堰の構造と特色

羽村取水堰は、ユニークな構造が特徴で、「固定堰」と「仮設堰」（投渡堰）を組み合わせて作られています。このような形式の堰は世界でも珍しいとされ、特に投渡堰の機能が注目されます。投渡堰とは、固定された桁に仮の材木を配置し、洪水時には桁を上げてこれを流下させる仕組みです。この設計により、自然の力に逆らうことなく堰の維持管理が可能になっており、設置当初の形状をほとんど変えずに今日まで運用されています。

また、羽村取水堰の周辺には、かつて江戸へ木材を運ぶために設けられた筏の通し場が存在していました。羽村取水堰から玉川上水土手にかけては約1キロメートルにわたり桜の名所として知られています。そのため、東京都水道局はこのエリアを重要な観光名所として位置づけています。堰の近くには、玉川兄弟の銅像も建てられており、玉川上水の開削に尽力した彼らの功績を称えています。

歴史の歩み

羽村取水堰の建設は、1653年4月に始まりました。当初は青柳や福生に取水口を設ける計画がありましたが、失敗を受けて羽村に移されました。その後、同年11月には羽村と四谷大木戸間が開通し、江戸市内への通水が1654年から始まりました。この年には玉川水神社も設立され、東京都内における水神社としては古いものの一つとなりました。

1781年には筏通場が設置され、これが大正時代まで利用されることとなります。1900年に改修工事が行われ、その後1911年にはコンクリート造に改築されました。1924年には増築が施され、2014年にはその歴史的価値が認められ、土木学会の選奨土木遺産に認定されました。しかし、2019年には令和元年東日本台風による影響で、下流側の河床が損壊する未曾有の事態が発生しました。

交通アクセス

羽村取水堰へのアクセスは非常に便利です。JR青梅線の羽村駅東口からは、「はむらん羽村西コース」の「羽村橋」停留所で下車した後、徒歩2分程で到着します。また、西口からは徒歩10分で訪れることが可能です。福生駅や小作駅からもアクセスでき、西東京バスを利用することで、「羽村堰上」停留所で下車することができます。

終わりに

羽村取水堰は、その独自の構造と長い歴史を持つ貴重な施設であり、東京都民にとっても重要な水源としての役割を果たしています。周辺の美しい桜の景観と共に、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。

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