羽鳥又男

羽鳥又男の生涯と業績

羽鳥又男（はとり またお）は、1892年4月20日に群馬県富士見村で生まれました。彼は日本統治時代の台湾において官吏としてのキャリアを積み、最終的には台南市長を務めました。彼の生涯には、豊かな文化財の保護活動が色濃く刻まれています。

初期の教育と経歴

羽鳥は、母親の影響を受けて 教育に興味を持ち、小学校を卒業後、東京の正則予備学校にも通いました。1909年には群馬県の尋常小学校で準教員資格を取得し、母校で教鞭を執ることになります。その後、教育に関する講習を受けながら、少しずつ自己の力を高めていきました。彼は教育者としてのキャリアを短期間で積み重ねましたが、1916年、親戚の医学博士の紹介で台湾に渡ることになりました。

台湾への移住と信仰

台湾に渡った羽鳥は、ここで新たな人生を歩み始めます。幼少期から抱いていたキリスト教への興味が、この地で具体的な形となり、1917年には洗礼を受け、クリスチャンとなりました。彼はその後、台湾総督府の中央研究所で職員として勤務し、次第に重要な役割を果たすことになります。

台南市長としての功績

1942年、羽鳥は台南市長に就任しました。市長としての彼の特筆すべき活動は、戦時下においても文化財の保護に対する強い意志を発揮した点です。具体的な業績には、台南孔子廟の修復や赤崁楼の改修が含まれます。特に赤崁楼の修復作業は、1943年に始まり、1944年に完了しました。工事は多くの困難に直面し、台湾総督府の支援も得られなかったものの、羽鳥は不屈の精神でこのプロジェクトを完遂しました。

戦後の活動と評価

日本が降伏した後、羽鳥は台南州接管委員会のアドバイザーとして引き続き市政に関与しました。その後、日本に帰国し、国際基督教大学の設立に関与するなど、教育と文化に対する情熱は生涯を通して衰えませんでした。1971年には日本YMCAから特別功労賞を授与され、1975年には東京YMCAの名誉会員としても認められました。

記念と顕彰

羽鳥の功績は、彼が亡くなった後も多くの人々に評価されています。台南市の奇美博物館や赤崁楼、さらには彼の故郷である前橋市富士見町の珊瑚寺には彼の胸像が設置されており、彼の名前と業績が今なお人々の記憶に留まっています。彼の生き方は、教育や文化財の保護に貢献した一人の公人として、多くの教訓を私たちに残しています。

もう一度検索