羿

羿の伝説

羿（げい、拼音: Yì、イー）は、中国[[神話]]に登場する弓の名手で、「后羿」や「夷羿」とも呼ばれる人物です。彼の物語は、悲劇的な英雄としての側面を持ち、妻の嫦娥（じょうが）による裏切りや、弟子の逢蒙（ほうもう）による暗殺劇に彩られています。羿は、神話の中で非常に重要な役割を果たしています。

羿射九日

羿の最も有名な伝説の一つに「羿射九日」があります。天帝である帝夋には、羲和という妻があり、この二人の間には10人の息子が生まれました。彼らはそれぞれが太陽となって地上を照らす役割を担っていましたが、時が経つにつれ、彼らは遊び好きとなり、10個の太陽が一度に現れるようになってしまいました。これにより、地上は灼熱地獄と化し、作物は全て枯れ果ててしまいました。

事態を重く見た帝夋は、羿を天から派遣し、事態の解決を図らせました。羿は彤弓と素矰を授けられ、最初は威嚇で太陽たちを交代で登場させようとしましたが効果がなく、ついには9つの太陽を射落としてしまいました。これにより、地上は再び平穏を取り戻しました。羿 はこの偉業によって人々から崇められる英雄となります。

不老不死の薬

羿が太陽を射落とした後、帝夋は羿を疎ましく思い、彼と妻の嫦娥を神籍から外しました。この結果、彼らは不老不死ではなくなりました。羿は不老不死の薬を求め、崑崙山の西王母の元を訪れますが、帰ると嫦娥がその薬を独り占めにして飲んでしまいました。嫦娥は羿を裏切る形で天に昇ろうとしますが、結局は月の広寒宮に隠れることを選びました。嫦娥は裏切りの罰として体がヒキガエルに変えられ、そのまま月で過ごすと言われています。

後に羿は嫦娥を思い、月餅を捧げて彼女の名を呼ぶと、嫦娥が戻ってくるという伝説が加わりました。

逢蒙殺羿

羿はその後、狩りをしながら日々を過ごしていましたが、弟子の逢蒙に技を教えました。しかし、逢蒙は羿の技術を全て吸収してしまい、羿を殺せば自分が天下一の弓の名手になれると考えるようになります。ある日、羿が不意を突かれ、逢蒙に背後から襲われて命を落としました。この事件から、「身内に裏切られること」を「羿を殺すものは逢蒙」と表現するようになりました。

夏の時代の羿

伝説の中には、羿が亜の時代に夏王朝を滅ぼしたという話もあります。この話では「后羿」という名称が使われており、彼の出身や背景に関して多くの異説が存在します。羿は幼少期、山で薬草を採っている際に狩人に拾われて育てられ、弓の使い方を習得し、後に各地を征圧するようになります。最終的に彼は夏王朝に反乱を起こし、しばらくの間、王として君臨しましたが、次第に政務を怠り、忠臣を排除して暗君としての道を歩むこととなります。

まとめ

羿の伝説は、中国の神話や歴史の中で重要な位置を占めています。彼の物語は、勇気や裏切り、悲劇的な運命を通じて、後世に語り継がれています。羿が弓の名手としての偉業や、嫦娥との関係、弟子の裏切りなどは、今でも多くの人々の記憶に残っています。

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