翔凰丸

翔凰丸（しょうおうまる）の歴史

翔凰丸は幕末から明治維新にかけて薩摩藩が運用した軍艦、いわゆる武装汽船です。この軍艦の歴史は1864年に遡ります。当時、薩摩藩は長崎でイギリス製の汽船「ロチウス」を買い上げ、その後翔凰丸として名を改めました。これは明治の海軍にとって重要な存在となります。

江戸薩摩藩邸焼討事件

1868年1月19日には、江戸薩摩藩邸が焼かれる事件が発生しました。この際、翔凰丸は相楽総三らの避難を助ける役割を果たしました。その逃走中、旧幕府海軍の「咸臨丸」や「回天」に追跡されましたが、咸臨丸は帆船であるために速度を失い、追うことができませんでした。翔凰丸は28発の弾丸を受けるものの、最終的には観音崎付近で「回天」を振り切り、伊豆子浦港に辿り着きます。

軍艦としての活躍

翔凰丸は当時、およそ461トンの重さを持ち、大砲を4門装備していました。また、速力は7ノットの能力があり、これにより海戦での戦闘能力を発揮しました。江戸での緊急事態から脱出した後も、翔凰丸は引き続き戦闘に関与します。

鳥羽・伏見の戦い

その後、鳥羽・伏見の戦いが始まると、兵庫港封鎖部隊は移動し、その隙に薩摩藩の艦船である翔凰丸、春日丸、平運丸が脱出を試みます。翔凰丸は春日丸に曳航されていましたが、春日丸が平運丸と衝突してしまい、舵輪に損害を負います。この混乱の中、翔凰丸は春日丸から分離され、「開陽」という別の艦に捕捉されます。

阿波沖海戦

翔凰丸は阿波由岐浦で座礁し、そこで焼かれる運命を辿ります。この海戦は阿波沖海戦として知られています。そして、焼かれた翔凰丸は開陽によって発見されましたが、その艦長である榎本武揚は、翔凰丸を薩摩の飛脚船「平運丸」と誤認してしまいました。こうした誤解も歴史の一部として、翔凰丸の物語に色を添えています。

書籍における翔凰丸

翔凰丸は多くの書籍において『翔鳳丸』と表記されることもありますので、注意が必要です。このように、翔凰丸は幕末・明治維新期にかけて、様々な出来事に直接関与し、その運命を共にした重要な軍艦です。

参考文献

• - 長谷川伸『相楽総三とその同志』講談社学術文庫（2015年）
• - 井上清『日本の歴史 19 明治維新』中央公論社（1966年）
• - 金澤裕之『幕府海軍の興亡　幕末期における日本の海軍建設』慶應義塾大学出版会（2017年）

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