老斤里虐殺事件

老斤里虐殺事件

老斤里虐殺事件（ノグンニぎゃくさつじけん）は、朝鮮戦争中の1950年7月、アメリカ軍によって発生した韓国民間人の虐殺事件です。この事件は、アメリカ軍第25師団長ウィリアム・B・キーン少将が発した「戦闘地域を移動するすべての民間人を敵とみなし発砲せよ」という命令に基づき実行されました。

事件の概要

1950年7月、朝鮮戦争が激化する中、国連軍の一員として参戦していたアメリカ陸軍第7騎兵連隊所属の部隊は、忠清北道永同郡黄澗面老斤里の京釜線永同老斤里双窟橋付近に展開していました。当時、多くの韓国人避難民が移動していましたが、米軍は避難民の中に北朝鮮兵が紛れ込んでいると疑いました。そして、避難民を鉄橋の上に集め、空軍機による機銃掃射を行いました。逃げようとした避難民は、米兵によって射殺され、この結果、約300名もの韓国民間人が犠牲となりました。

この虐殺事件は長らく隠蔽されていましたが、1994年に韓国人生存者によって事件を告発する書籍が出版され、1999年にはAP通信によって大々的に報道されました。事件が明るみに出ると、在韓米軍が現地調査を行い、2004年には犠牲者の名誉を回復するための法案が韓国国会を通過しました。

老斤里虐殺事件は、その悲惨な内容から、韓国国内における反米感情を著しく高める要因の一つとなりました。また、この事件は、朝鮮戦争中に米韓連合軍によって行われた数々の民間人虐殺事件の一つに過ぎないことも、後に明らかになっています。例えば、収監されていた1000人以上の政治犯も軍の命令によって処刑されていたことが、文書調査によって判明しています。

事件に関する書籍

『朝鮮の虐殺　20世紀の野蛮から訣別するための現場報告書』(呉連鎬(著)、大畑龍次/大畑正姫(訳)) ISBN 978-4-872335-59-0
『ノグンリ虐殺事件　君よ、我らの痛みがわかるか』(鄭殷溶（著）、伊藤政彦（訳）、寿郎社刊 ISBN 978-4902269321)

関連映画

『小さな池 1950年・ノグンリ虐殺事件』：2010年4月に韓国国内で公開され、日本では2011年5月に公開されました。老斤里虐殺事件を題材にした映画です。

関連項目

保導連盟事件：朝鮮戦争中に韓国政府によって行われたとされる民間人の虐殺事件。
済州島四・三事件：済州島で発生した大規模な民間人虐殺事件。
アメリカの戦争犯罪：アメリカ軍が関与した戦争犯罪。
漢江人道橋爆破事件：朝鮮戦争中に韓国軍によって行われたとされる橋の爆破事件。
永同老斤里双窟橋：事件が発生した場所であり、大韓民国の国家登録文化財に指定されています。
老斤里事件犠牲者審査及び名誉回復委員会：事件の犠牲者の名誉回復に取り組む委員会。

参考資料

老斤里の虐殺:事件に関する詳細な情報を提供。
* 英語'>Kill 'em all:事件に関する海外の記事。

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