耕作放棄地

耕作放棄地について

耕作放棄地（こうさくほうきち）とは、農家に対する調査結果に基づき、1年以上にわたり農作物が栽培されておらず、今後数年の間に作付けの予定がないと認識される農地のことを指します。これは、世界農林業センサスによって明確に定義されたものです。特に、耕作放棄地は、各国の農業環境や社会背景によって形成されるため、その要因は多様です。

世界的な要因と日本の特有な事情

グローバルな観点から見ると、耕作放棄地が発生する理由には、水不足、自然災害、戦争などが含まれますが、日本の場合は異なる要因が主な要因となっています。特に目立つのが、減反政策と農業後継者不足です。日本では、政府の決定により、特定の作物の生産を制限する政策が取られた結果、一部の農地が耕作を放棄されることが増加しました。また、高齢化が進む中で農業を継ぐ人が少なくなり、耕作放棄地が増加する一因となっています。

2005年に行われた農林業センサスによれば、日本国内の耕作放棄地の面積は386,000ヘクタールにも達しています。このような土地は、しばしば農業委員会に用途変更の手続きを行わないまま放置されるため、農地の名目が残ったままで原野や森林に戻ることが一般的です。

再活用の試み

それでも、日本では耕作放棄地を有効活用するためのさまざまな試みが行われています。例えば、放牧地としての利用や企業による土地の買収、さらには公園としての転用などが挙げられます。最近では、インターネットを活用したマッチングサービスが始まり、耕作放棄地の持ち主とその利用を希望する人々をつなぐ新たな取り組みも広がっています。

不正行為とその影響

しかし、耕作放棄地の利用に関しては注意が必要です。農家のみが土地の用途変更を行える制度が悪用され、身内名義で放棄地を購入した後に産業廃棄物を不法投棄する事例が起こっています。これにより、逮捕者も出ており、自治体は是正指導や監視カメラの設置などの対策を講じて、問題の解決に取り組んでいます。

新たな動向と今後の関連データ

従来、農家の主観に基づいた農地の面積に関するデータが多く用いられてきましたが、2008年からは農業委員会が客観的に荒廃農地を把握する取り組みが進められています。この流れを受けて、2020年の農林業センサスでは、耕作放棄地を監視する項目が廃止され、より精確な農地の把握が期待されています。

参考文献

1. 世界農林業センサス
2. 福島民報紙面（2010年1月7日）

関連項目

• - 荒廃農地
• - 農地
• - 農地法
• - 灌漑
• - 農地転用
• - 相続

このように、耕作放棄地は日本の農業が抱える重要な課題であり、その解決に向けた取り組みが今後とも必要とされるでしょう。様々な方法で再活用が進みつつある中、持続可能な農業の実現が求められています。

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