耶律突欲

耶律突欲の生涯と業績

耶律突欲（やりつ とつよく、899年 - 937年）は、契丹（きったん）の皇太子であり、東丹国の王としても知られています。彼の漢名は劉倍（りゅうはい）であり、父は契丹の創設者である耶律阿保機（やりつ あほき）です。突欲の母は月里朶（げつりだ）で、彼の人生はその影響を大きく受けました。

彼は光化2年（899年）に生まれ、906年に契丹帝国が建国されると、立太子の儀式が行われました。突欲は父の軍事遠征に同行しながら、民族間の戦闘に参加し、契丹の力を拡大するために活動していきます。特に、926年には弟の耶律堯骨（やりつ ぎょうこつ）とともに渤海に侵攻し、その滅亡に寄与しました。この戦いの結果、契丹は渤海を東丹国と改称し、突欲をその国王に任命しました。彼は「人皇王」として呼ばれ、阿保機は「天皇帝」と、母月里朶は「地皇后」として扱われることとなりました。

しかし、927年、阿保機の急死により、突欲は母月里朶と不仲となり、国王としての地位にとどまることになりました。この背景には、母の強力な意向があったとされています。彼の弟、堯骨はその後、皇帝位を継承するよう月里朶から指名されます。

929年には、日本に対して裴璆（はいしゅう）を使者として派遣するなど外交も手がけましたが、兄弟関係における緊張が増していきます。突欲は、堯骨に警戒される存在となり、南京遼陽府で監視下に置かれることになります。この状況を好機と見た後唐の明宗（みんそう）李嗣源（り しげん）は、突欲に亡命を促しました。

930年、突欲は明宗のもとに逃れ、東丹慕華（とうたんむか）という名で歓迎されることとなりますが、これには明宗の死による権力交代が影を落とすことになります。933年、明宗の死後、李従珂（り そうか）が権力を握る中、突欲は契丹側に戻り、堯骨に対して後唐に介入を促します。堯骨もまた、その意を汲み取り、石敬瑭（せきけいとう）を支援し、後唐を滅ぼす結果となります。

しかし、李従珂は突欲の再興を快く思わず、彼に対する刺客を送りました。突欲は暗殺され、歴史の表舞台から姿を消しました。彼の死後、長男の世宗（せいそう）が即位し、譲国皇帝の称号を追尊されました。突欲の末裔は、後の遼の皇帝やモンゴル帝国の中書令の耶律楚材（やりつ そざい）などにも影響を与えています。

家族構成

耶律突欲は、複数の妻妾を持っており、その中には蕭氏、夏氏、大氏、高氏などが登場します。彼の子供たちには、長男の耶律兀欲（世宗）、耶律婁国（武定軍節度使、南京留守）、耶律稍、耶律隆先（平王）、耶律道隠（晋王）などが含まれています。

結論

突欲の生涯は、契丹史において重要な意味を持つものであり、彼の行動や影響力はその後の契丹及び東アジアの政治に大きな影響を与えました。彼の複雑な家族関係や権力闘争の中で生きた姿は、時代背景を理解する上でも欠かせない要素です。

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