耶律堯骨

耶律堯骨（やりつ ぎょうこつ）—— 契丹帝国（遼）の第2代皇帝

耶律堯骨は、契丹帝国（遼）の第2代皇帝であり、太祖耶律阿保機の次男として生まれました。漢名は耶律徳光（やりつ とくこう）といい、その生涯は激動の時代を反映したものでした。

即位までの経緯

天顕元年（926年）、太祖である父、耶律阿保機が崩御した際、本来であれば皇太子であった同母兄の耶律突欲が後継者となるはずでした。しかし、突欲は生母である述律皇后に疎まれ、廃嫡されて東丹国の王となっていました。そのため、太祖亡き後の皇位は一時的に空白となり、述律皇后が称制を執るという状況が続きました。

天顕2年（927年）、述律皇后は耶律堯骨を後継者として正式に指名し、彼は契丹帝国の第2代皇帝として即位しました。皇位を継げなかった兄の耶律突欲は、沙陀族の王朝である後唐に降伏し、明宗（李嗣源）のもとへ身を寄せました。

後唐への介入と後晋の成立

天顕8年（933年）、後唐の明宗が崩御すると、後継を巡る争いが激化しました。この混乱に乗じて、耶律突欲は太宗（耶律堯骨）に後唐への軍事介入を促します。後継争いの渦中にいた沙陀族の石敬瑭は、燕雲十六州を割譲することを条件に契丹帝国と同盟を結びました。そして、石敬瑭は契丹の支援を受けて後唐の皇帝、李従珂を滅ぼし、新たに「後晋」を建国しました（この一連の混乱の中で、耶律突欲は李従珂によって暗殺されています）。

太宗は、燕雲十六州を将来的な南進の拠点として整備しました。後晋は建国の経緯から事実上、契丹の傀儡政権でしたが、会同5年（942年）に高祖石敬瑭が亡くなると、契丹からの独立を試みるようになります。

後晋の滅亡と国号の改称

太宗は、後晋の独立の動きを警戒し、軍を率いて南進を開始しました。会同9年（946年）には、後晋の首都である大梁（現在の開封）を陥落させ、華北を占領し、後晋を滅亡させました。翌会同10年正月元日（947年1月25日）、太宗は開封に入城し、国号を中華風の「大遼」（遼）と改称し、年号を大同と定めました。ただし、これ以後も「契丹」と「遼」の国号は併用されました。

太宗はしばらく開封に滞在しましたが、遠征による兵站の支障が生じたため、3か月後に開封を離れ、北の幽州へ帰還する途中の欒城で病没しました。享年46歳でした。

宗室

后妃
靖安蕭皇后
宮人蕭氏
子
耶律述律（穆宗）
耶律罨撒葛（太平王）
耶律天徳（苾扇）
耶律敵烈（巴速菫、冀王）
耶律必摂（箴菫、越王）
女
耶律呂不古（燕国大長公主、蕭思温の妻）
耶律嘲瑰（蕭海瓈の妻）

参考文献

『東洋歴史大辞典 中巻』（1941年、縮刷復刻版、臨川書店、ISBN 465301471X）1016ページ「太宗」（執筆:田村実造）
『アジア歴史事典 6』（平凡社、1984年）43ページ「太宗」（執筆:田村実造）
『遼史』巻3　太宗本紀第三、巻4　太宗本紀第四

関連項目

後唐
後晋
開封府
石敬瑭
李従珂
五代十国時代
契丹国志
* 馮道

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