聖書日課

聖書日課とは

聖書日課（Lectionary）とは、ユダヤ教およびキリスト教の伝統的な教派（カトリック、聖公会、ルーテル教会、正教会など）において、毎日の典礼（ミサや礼拝）で朗読する聖書の箇所をあらかじめ定めたものです。この日課は、特定の箇所（ペリコーペ）を周期的に読み進めることで、信徒が聖書の全体像をより深く理解することを目的としています。

典礼における聖書日課

典礼に用いられる聖書日課は、教会暦に合わせて構成されています。各教派によって、朗読箇所やサイクルは異なりますが、旧約聖書、新約聖書、福音書がバランス良く選ばれているのが特徴です。

ユダヤ教

ユダヤ教では、トーラー（律法）とハフターラー（預言書）から、定められた箇所が読まれます。この習慣は、新約聖書にも記述があり、イエスが会堂で旧約聖書のイザヤ書を朗読した場面は、その一例です。

西方教会

ローマ・カトリック教会では、「ミサの朗読配分」という形で、旧約聖書、新約聖書の手紙、福音書が朗読されます。第二バチカン公会議以降、3年サイクルの新しい朗読配分が導入され、各年で主に読まれる福音書が異なります。

A年：マタイによる福音書
B年：マルコによる福音書
C年：ルカによる福音書

ヨハネ福音書は、クリスマスやイースターなどの特別な機会に読まれます。

北米における聖書日課

米国のプロテスタント教会では、1983年から「共同聖書日課」が、1992年からは「改訂共通聖書日課」（RCL）が用いられるようになりました。これは、カトリック教会の朗読配分を基に作成され、多くのプロテスタント教会で採用されています。

英国における聖書日課

英国聖公会では、長らく「祈祷書」に基づく1年サイクルの日課を使用していました。しかし、1979年に合同典礼グループが2年サイクルの日課を発表し、その後、4年サイクルの日課も発表されました。ただし、「2000年新祈祷書」では、米国聖公会と同様にカトリック起源の3年サイクル（RCL）を採用しています。

東方教会

正教会では、奉神礼（典礼）において、新約聖書が1年周期で読まれます。旧約聖書は、詩篇が頻繁に朗読・歌唱される他、大斎期間には創世記、イサイヤ書、箴言などが読まれます。

個人における聖書日課

個人の聖書を読む日課として、1年サイクルのものが多く用いられます。日本聖書協会の「聖書愛読こよみ」などが代表的です。これは、年間を通して計画的に聖書を読むためのガイドとして役立ちます。

聖書日課の重要性

聖書日課は、典礼の中心的な要素であり、信徒が聖書の言葉に触れるための重要な手段です。また、日課を用いることで、聖書の全体像を理解し、信仰生活を深めることができます。さらに、各教派が独自の聖書日課を持つことは、その伝統と教義を反映しています。

聖書日課の現代的な意義

現代においても、聖書日課は、信徒にとって重要な存在です。各教派が日課を共有することで、エキュメニズム（教会一致運動）を促進する効果もあります。また、電子書籍やアプリを通じて、聖書日課をいつでもどこでも利用できるようになったことで、より身近な存在となっています。

聖書日課の種類

典礼用聖書日課: 教会での礼拝やミサで使われる、教会暦に合わせた朗読箇所が定められたもの。
* 個人用聖書日課: 個人が日々の聖書読書のために使うもの。1年サイクルで読めるように構成されていることが多い。

まとめ

聖書日課は、ユダヤ教とキリスト教の伝統において、聖書の言葉を読み、その意味を深く理解するための重要なツールです。典礼での使用はもちろん、個人での聖書読書においても活用されています。各教派によって異なる日課が採用されていますが、聖書全体を理解し、信仰を深めるという目的は共通しています。

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