肇和 (防護巡洋艦)

肇和（ちょうほう）

肇和は満州清朝の時代に建造された訓練防護巡洋艦であり、清朝の艦隊の中で重要な役割を果たしました。元々の名称は「穏やかな始まり」を意味し、清朝の近代化を象徴する存在として注目されています。

開発の背景

肇和級は、清朝の皇帝摂政である愛新覚羅載灃による海軍の近代化計画の一部として、数々の戦艦や巡洋艦が発注されました。しかし、実際に建造されたのはわずか数隻であり、計画は実現性に乏しいものでした。肇和は1910年10月7日にエルスウィックで建造され、1911年には進水、1912年には試運転を終えるなど、建造過程においては順調でしたが、辛亥革命により清朝が終焉を迎え、中華民国が成立。肇和は新たに中華民国海軍に所属することとなりました。

設計の特異性

肇和級の巡洋艦は、合計で4隻が建造されましたが、それぞれ異なる造船所で製造されるなど、一風変わった特性があります。肇和は他の姉妹艦と比較しても大きく、重さも290トンも増加していました。肇和の装甲はより厚く設計され、砲の配置も多様化されていたため、乗組員は様々な兵器に慣れるための教育効果を得られました。主武装はアームストロング・パターンNNの6インチ砲で、これが艦の戦闘能力の要となりました。

艦歴の概略

肇和は1915年の護国戦争中に反乱軍に捕らわれるという事件に遭遇しましたが、その後も中華民国海軍として活動を続けました。無法時代には反乱軍の拠点を砲撃するなど、戦闘に関与することが多く、1924年には青島での拠点として活動していた北方艦隊に編入されました。日本の技術者による改装も受け、艦は近代化が図られました。

国民党政府が設立された後も、肇和は上海沖やアモイ沖での戦闘に参加し、1928年には北京を占領する国民党の勝利に寄与しました。しかし、その後も肇和は艦隊の問題に悩まされることがあり、1933年には反乱軍が発生しました。このため、肇和は周囲の政治情勢に敏感に反応しなければならない状況に置かれました。

日中戦争と最期

1937年に始まった日中戦争の際には、肇和は広州市を防衛する役割を果たしましたが、同年に日本軍の攻撃にさらされ、最終的には撃沈されるという悲劇を迎えました。この艦の運命は、当時の複雑な政治情勢を反映し、また中国海軍の歴史において重要な位置を占めるものとなりました。

結論

肇和は、その設計と艦歴を通じて、清朝から中華民国への移行期の海軍における近代化の象徴として位置づけられています。この艦の存在は、歴史的な出来事と深く結びついており、当時の中国の海軍が直面した様々な課題を体現しています。

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