肉体の門 (1948年の映画)

映画『肉体の門』について

『肉体の門』は、1948年8月10日に公開された日本の映画で、吉本興業と東宝の提携によって制作された作品です。この映画は、田村泰次郎の同名小説を原作とし、太泉スタジオが手がけた映画化第1作でもあります。白黒映像で、上映時間は87分です。

制作の背景

1947年10月、吉本興業の林弘高が、元新興キネマの撮影所を占領軍から買い戻し、株式会社太泉スタジオを設立しました。彼は前年に舞台で大ヒットを記録した『肉体の門』を映画化することを決意し、この作品をスタジオの初の製作映画とすることにしました。当初はマキノ正博監督に依頼しましたが、彼は断り、小崎政房が監督を担当することになりました。しかし、後に小崎から監督を交代し、マキノが再び指揮を取ることとなります。

撮影の環境

撮影はほとんどが大泉スタジオで行われましたが、そこは当時ほとんど何もない僻地で、宿から撮影所まで車で約40分かかる距離でした。大泉では水脈が近い場所だったため、川や教会などのセットが作られ、オープンセットでの撮影が行われました。

キャスト

主演は田中実と水島道太郎が二分し、田中は舞台で好評を得てこの役を演じました。撮影が終わった後、マキノ監督は編集作業で苦労し、スタジオには編集機材が不足していたため、個人的に借りてきた機材で行うことになりました。予算のオーバーも影響し、映画制作の難しさを痛感させられたようです。

公開と評価

公開後は大ヒットを記録し、監督のギャラも支払われましたが、懸念された製作費の欠損が強調される状況が続きました。この作品はその後のリメイクとは異なり、特有のカトリック的世界観が描かれた先駆的な女性映画として評価されています。同時に、1980年代のフランス映画を彷彿とさせる要素も持ち合わせており、戦後の映画文化における重要な作品として位置づけられています。

スタッフと音楽

監督はマキノ正博、製作は小崎政房が手がけました。脚本は小沢不二夫、撮影は三木滋人が担当。音楽には大久保徳二郎が関与し、主題歌『あんな女と誰が云う』が特に話題になりました。

主要キャスト

• - 轟夕起子（浅田せん役）
• - 月丘千秋（夏目マヤ役）
• - 逢初夢子（町子役）
• - 春名薫（美乃役）
• - 水島道太郎（神山哲夫役）

本作は日本映画史において、特に戦後の映画文化の一端を担う貴重な作品であり、今でも多くの視聴者に親しまれています。

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