肉末焼餅

肉末焼餅（ロウモーシャオピン）とは

肉末焼餅（ロウモーシャオピン、繁体字: 肉末燒餅; 簡体字: 肉末烧饼）は、北京を代表する伝統的な軽食の一つです。小麦粉を練って焼いたパンである焼餅（シャオピン）の中に、豚肉を中心とした甘辛いそぼろ（肉末、ロウモー）を詰めた料理で、その香ばしさと風味豊かな味わいが特徴です。

歴史

焼餅に肉を挟んで食べる習慣は、中国華北地方で古くから親しまれてきました。そのルーツは、北魏時代の農書『斉民要術』にまで遡ることができます。この書物には、羊肉とネギを煮て焼餅と共に食す記述があり、当時から焼餅と肉を組み合わせる食文化があったことが窺えます。現在でも、陝西省西安市などで親しまれている「ジアモー」は、煮込んだ肉をパンに挟む料理であり、その伝統は現代にも受け継がれています。

また、肉末焼餅は、北京の宮廷料理に起源があるという説も有力です。満漢全席の献立の一つであったこと、清朝の西太后が好んで食したという逸話からも、その歴史と格式の高さを感じることができます。現在でも、北京市内にある宮廷料理の再現を謳う老舗料理店「仿膳飯莊」では、名物料理として提供されています。

作り方

肉末焼餅は、焼餅と肉末、二つの要素から構成されます。

焼餅

焼餅は、小麦粉に砂糖、塩、サラダ油、酵母を加えてぬるま湯で練り上げた発酵生地を使用します。一次発酵させた生地を小分けにし、円形に薄く伸ばします。次に、小さく丸めた生地に油を塗って、伸ばした生地で包み込みます。表面にシロップを塗って白胡麻をまぶし、二次発酵させた後、鉄板やフライパンで蒸し焼きにします。焼餅の中には団子状の生地が包まれているため、食べる際に取り出すことで、空洞を作ることができます。

肉末

肉末は、主に豚肉、タケノコ、ネギ、ショウガを炒めて作られます。豚肉の代わりに牛肉や羊肉を使用することもありますが、一般的には豚肉が用いられます。タケノコは、乾燥したものを水で戻してみじん切りにし、豚肉は細かく叩き切るか、挽き肉を使用します。中華鍋でタケノコと豚肉を炒め、軽く火が通ったら、醤油と砂糖で甘辛く味付けし、刻んだネギとショウガを加えて仕上げます。

食べ方

肉末焼餅を食べる際は、まず焼餅を上下に割り、中に入っている団子状の柔らかい部分を取り出します。これにより、焼餅の中に空洞ができます。この空洞に、甘辛く炒めた肉末をたっぷりと詰め、熱いうちにいただきます。取り出した団子も、焼餅と共に美味しくいただけます。


肉末焼餅は、外はカリッと香ばしく、中はふっくらとした焼餅の食感と、甘辛く味付けされた肉末の風味が絶妙なバランスを生み出しています。北京を訪れた際には、ぜひとも味わっていただきたい一品です。

参考資料

ウー・ウェン『ウー・ウェンの北京小麦粉料理』（高橋書店、2003年）

関連項目

焼餅 (中国)
ハンバーガー
サンドイッチ

外部リンク

* 百度百科：肉末烧饼

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