肝付兼幸

肝付兼幸について

肝付兼幸（きもつき かねゆき）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した武士であり、肝付氏の20代目当主です。彼は、実質的に肝付本家の最後の当主としてその名を知られています。

生涯

文禄元年（1592年）、肝付兼護の長男として誕生しました。当時の肝付氏は、転封により旧領であった高山を離れざるを得ない状況にありました。さらに、家臣団の内紛や、父・兼護が先妻との離婚問題で領地を100石にまで削減されるなど、苦境に立たされていました。

慶長5年（1600年）には、関ヶ原の戦いにて父・兼護が戦死。兼幸は、わずか9歳にして家督を相続することになります。

慶長15年（1611年）、島津家久が琉球王の尚寧を連れて上洛した際、兼幸も島津氏の家臣として同行しました。しかし、その帰路、乗船が暴風雨に遭い難破。兼幸は、20歳という若さで溺死してしまいました。

当時、兼幸はまだ結婚しておらず、後継となる子はいませんでした。兄弟もいなかったため、肝付本家の血統は兼幸の死によって途絶えることとなりました。

家名再興

兼幸の死後、彼の母である税所篤弘の長女が、島津家久の娘である菊姫（島津久慶室）に仕えた功績が認められ、肝付家の家名再興が許されました。しかし、後継者として迎えられたのは、肝付氏とは遠縁にあたる新納忠秀の子・兼康でした。新納氏は、兼幸の母方の祖母の実家にあたります。これにより、実質的に兼幸をもって肝付家の本家は血統上の終焉を迎えたと言えるでしょう。

その後、肝付家は100石取りの薩摩藩士として存続しました。

兼幸の短い生涯は、肝付氏の歴史における大きな転換点となりました。彼の死によって、名門である肝付氏の本家は血統が途絶えましたが、その家名は後世に引き継がれ、薩摩藩士としてその名を残すこととなりました。

もう一度検索