島津久慶

島津久慶について

島津久慶（しまづ ひさよし）は、江戸時代前期に薩摩藩で活躍した武士であり、日置島津家の4代当主です。日置島津家は、島津氏の分家の一つであり、久慶はその重要な地位を担いました。

生涯

久慶は、島津常久の長男として誕生しました。当初は弾正少弼を名乗っていましたが、寛永9年（1632年）5月9日に主君である島津家久の命により弾正大弼に改められました。さらに、隈之城（現在の鹿児島県薩摩川内市隈之城町）の地頭にも任じられ、領地を治める立場となりました。

寛永11年（1634年）には、島津家久の家老に任命され、藩政の中枢で活躍しました。家老として7年間務めた後、寛永18年（1641年）には、異国方（異国船を取り締まる役職）と宗門方（キリシタンおよび薩摩藩で禁止されていた一向宗を取り締まる役職）を兼任することになりました。これらの役職は、当時の薩摩藩にとって重要な役割であり、久慶が藩主から厚い信頼を受けていたことが伺えます。

寛永16年（1639年）には、東郷（現在の旧薩摩郡東郷町）3000石を加増され、合計1万9千石を領有するまでになりました。これは、久慶のこれまでの功績が評価された結果であると考えられます。

慶安4年（1651年）、久慶は43歳でこの世を去りました。

死後の失脚

久慶の死後、養子であった甥の久予（後の久憲）が、久慶が一向宗を信仰していたこと、さらには自領の僧侶に2代藩主・島津光久を呪詛させていたという讒言を光久に伝えました。この讒言により、久慶は日置家の系図から削除され、その存在を抹消されるという厳しい処分を受けました。

さらに、久予は喜入家に戻り、日置家の名跡は初代藩主・島津家久の十二男である忠朝（忠心とも呼ばれる）が継ぐことになりました。これは、久慶が死後、一向宗を信仰していたことが問題視され、その家系までもが否定されたという、非常に厳しい処分であったと言えます。

まとめ

島津久慶は、薩摩藩の家臣として、また日置島津家の当主として、藩政に大きく貢献しました。しかし、死後、一向宗を信仰していたという理由で、その功績は否定され、系図からも削除されてしまいました。この事件は、当時の宗教観や藩政における厳しい一面を物語る出来事として、歴史に刻まれています。

参考文献

『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）
『島津歳久の自害（増補改訂版）』島津修久著　島津顕彰会、2000年10月

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