肥前国分寺跡

肥前国分寺跡

肥前国分寺跡は、佐賀県佐賀市大和町に位置する古代寺院の遺跡です。この地は、奈良時代に聖武天皇の詔によって全国に建立された国分寺の一つであり、肥前国の国分寺として重要な役割を担っていました。本稿では、僧寺跡と尼寺跡の両方について解説します。

概要

肥前国分寺跡は、佐賀市北部の山裾の傾斜地に位置しています。東側には僧寺跡、西側には尼寺跡があり、現在でも「尼寺（にいじ）」や「国分北」「国分南」といった地名に、その名残をとどめています。両寺跡は住宅地に囲まれているため、史跡としての整備は進んでいません。

創建に関する記録は残されていませんが、聖武天皇の詔によって建立されたと考えられています。国分寺は鎌倉時代には地頭職に国分氏の名が見られ、大きな勢力を持っていたと推測されています。その後、南北朝時代から室町時代にかけて衰退したと考えられています。江戸時代寛政4年（1792年）の絵図には当時の寺域が描かれていますが、創建当初に比べると大幅に縮小していたことがわかります。

伽藍

寺域は一辺が約216メートルの正方形で、伽藍配置は中門、金堂、講堂が一直線に並び、その周囲を回廊が囲んでいたと推定されています。塔は金堂の南東に位置し、その版築基壇は全国の国分寺の中でも最大規模であり、七重塔であったと考えられています。僧寺の東側からは、4基の瓦窯が見つかっています。

肥前国分尼寺跡

尼寺跡は、僧寺跡の西側に位置しています。寺域は一辺が約108メートルの正方形であったと推定されています。

文化財

肥前国分寺跡は、1990年5月30日に佐賀市指定史跡に指定されました。

現地情報

所在地

国分寺跡: 佐賀県佐賀市大和町尼寺字真島（北緯33度18分49.97秒 東経130度17分14.85秒）
国分尼寺跡: 佐賀県佐賀市大和町尼寺（北緯33度18分48.07秒 東経130度16分59.93秒）

周辺情報

肥前国庁跡: 佐賀県佐賀市大和町大字久地井（北緯33度19分0.94秒 東経130度16分26.45秒）に位置する肥前国の政庁跡。『肥前国風土記』には国府に関する記録はありませんが、『和名抄』には「乎岐国府（おぎ）」という記述があります。奈良時代には久池井に国府が置かれていたと推定されています。
印鑰神社: 佐賀県佐賀市大和町大字尼寺（北緯33度18分45.16秒 東経130度16分50.52秒）に位置し、肥前国府の印と鍵を保管していたと伝えられています。
與止日女神社: 佐賀県佐賀市大和町川上に位置する肥前国一宮です。

脚注

各所説明板
『日本歴史地名体系 佐賀県の地名』（平凡社）佐賀郡 国分村項・国分寺跡項・尼寺村項・印鑰神社項

外部リンク

佐賀市史跡>肥前国分寺跡 - 佐賀市ホームページ
* 肥前国分寺跡 - 佐賀市観光協会公式ポータルサイト「さがばいどっとこむ」

この文章は、肥前国分寺跡の歴史的背景、伽藍配置、周辺情報について詳しく解説したものです。参考文献と外部リンクも掲載していますので、より深く知りたい方はそちらも参考にしてください。

もう一度検索