肥後国人一揆

肥後国人一揆について

肥後国人一揆（ひごこくじんいっき）とは、天正15年（1587年）に肥後国で発生した反乱であり、肥後国衆一揆とも呼ばれています。この一揆は、豊臣秀吉による九州征伐のさなかに起き、地域の国人たちが新たな支配者である佐々成政に対して蜂起する形で展開されました。

背景

肥後国では、守護の菊池氏が衰退した後、戦国時代に突入し、国人たちがそれぞれの領地を持ち、割拠する時代が続きました。天正年間には、一時的に島津氏がこの地域を支配しましたが、1587年5月に豊臣秀吉が九州征伐を開始すると、島津氏は敗北を喫し、肥後国は新たに佐々成政の支配下に置かれました。この時点で、肥後の国人たちは、成政からの検地を不満に思い、彼の真摯な領国化政策に逆らい始めたのです。

この時期、肥後国では、親島津側と親大友側の国人が激しい争いを繰り広げていましたが、最終的に島津氏が全域を占領。このため、旧大友側の国人たちには、島津氏に所領を奪われ、彼らが期待していた豊臣政権の恩恵が受けられない現状に失望が募りました。特に、元親大友側である隈部氏は秀吉への臣従を早くに示しましたが、実情として自らの旧領の回復が認められなかったことで、不満が膨らみ、成政への直接的な反感へと変化したのです。

一揆の経過

1587年7月、隈部親永と親泰父子は、有力国人たちを集め、成政の検地に反抗して挙兵しました。成政は、7,000の兵を率いて隈本城を攻撃しましたが、隈部は逃げて城村城に籠もりました。その後、親永はさらなる同盟を結び、35,000以上の兵を集めて隈本城を包囲する事態に至りました。

成政は急いで駆けつけましたが、撤退中に多くの部下が討たれ、秀吉に援軍を要請。9月には鍋島直茂と安国寺恵瓊が援軍を派遣しましたが、襲撃を受け失敗に終わります。その後、立花宗茂と高橋直次兄弟が改めて援軍を送り、成功を収め、数々の城を陥落させました。

秀吉は九州の安定を考え、全力を挙げて一揆鎮圧に乗り出します。12月には、田中城を含むいくつかの城を攻撃し、最終的に一揆を鎮圧しました。

戦後の影響

一揆が鎮圧された後、成政は大坂に出向き謝罪を試みましたが、秀吉に面会を拒否され幽閉され、その後切腹に追い込まれました。また、一揆に参加した国人だけでなく、中立の者たちにも処罰が下され、多くの国人が戦死または処刑されました。秀吉は一揆の厳しさを背景に武器を国民から取り上げる政策を強化し、1588年には刀狩令を発布しました。

この一揆の結果、肥後では新たな支配者として加藤清正や小西行長が台頭し、国の領土制度が大きく動くこととなりました。また、この騒動の影響を受け、天草でも新たな一揆が発生するなど、肥後国人一揆は戦国の歴史に大きな刻印を残しました。

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