肥薩おれんじ鉄道HSOR-100形気動車

肥薩おれんじ鉄道HSOR-100形気動車

概要

肥薩おれんじ鉄道HSOR-100形気動車は、2003年に開業する肥薩おれんじ鉄道線に向けて開発された車両です。主に運行される区間では交流電化されているものの、設備投資や維持費の面での負担を軽減するため、軽快気動車という形式が選ばれました。この車両は、一般用のHSOR-101からHSOR-117までの17両と、イベント向けのHSOR-151およびHSOR-152の計19両が存在します。

運行機器

新潟トランシスによって製造されたHSOR-100形は、NDCシリーズと呼ばれる地方鉄道向けの標準的な気動車に基づいています。車両の設計には制約があり、天竜浜名湖鉄道のTH2100形をベースにしたカスタマイズが施されています。前面の窓上部には前照灯が2つあり、LED式の行先表示器も搭載されています。ホームとの段差を解消するために、車両の低床化が図られており、扉にはステップが設けられていません。運転席には列車情報制御装置TICSが備わっており、左手で操作するワンハンドルマスコンが採用されています。ATSは、JR九州からの転換路線を考慮してATS-SK形が搭載されていましたが、鹿児島本線への乗り入れに伴いATS-DK形への改良も実施されています。

内装

HSOR-100形の客席は、101から117の車両がセミクロスシートとなっており、151および152は転換クロスシートを設置しています。自動放送装置やドアチャイム、LED式運賃表示器など、ワンマン運転に必要な設備も充実しており、長時間の運行をサポートするために真空式バリアフリー対応洋式トイレが設けられています。また、自動券売機で発行される乗車券にはバーコード式の印字が施されており、運賃箱もバーコード読み取りに対応しています。

塗装

車両の塗装は、沿線の柑橘類をイメージしたオレンジのラインが特徴的です。これに沿って、山や田畑のイメージを表現した緑や青のラインが施されています。また、イベント用のHSOR-151および152は、特別なデザインラッピングが施されています。特に151号車は、松本零士の「銀河鉄道999」のデザインを施されたことがあり、イベントの一環としてさよならイベントも開催されました。

特殊運行

「おれんじ食堂」と呼ばれる観光列車専用の114と116号車もあります。114号車はキッチン付きのダイニングカーとして改造され、116号車はリビングスペースが設けられています。これらの車両は、特別な設計デザインが施され、水戸岡鋭治氏による美しい内外装が魅力的です。さらに、ATS装置の更新も定期的に行われており、新しい機能を持つATS-DKが搭載されています。

結論

肥薩おれんじ鉄道のHSOR-100形気動車は、経済性と快適さを両立させた車両として、地域の移動手段として重要な役割を果たしています。その多様なデザインや機能は、乗客にとっても魅力的な存在であり続けています。

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