背負落

背負落（せおいおとし）

背負落は、柔道の投げ技における手技の一つであり、講道館や国際柔道連盟 (IJF) で正式に認められている技です。IJFの略号ではSOOと表記されます。

概要

背負落は、背負投または一本背負投の体勢から、片膝または両膝を畳につけ、そこを支点として相手を足元に引き落とすように投げる技です。
中学生以下の試合においては、安全面への配慮、および基本に忠実な技の習得を目的として、両膝をついて技をかける行為は反則と定められています。
一本背負投の形から繰り出す背負落は、内巻込と類似していますが、相手を引き落とすか、首に巻き付けて投げるかという点で区別されます。

歴史

背負落の起源は、講道館の柔道家であった南摩紀麿が考案した「南摩落」であるとされています。南摩落は、釣り手で相手の腕を一本背負投のように抱え込み、引き手で相手の前帯を持ち、膝をついて投げる技法でした。
昭和初期頃までは、背負落といえばこの南摩落の技法を指していましたが、時代が移り変わるにつれて、背負投の体勢から膝をつくものが背負落として認識されるようになりました。
講道館の公式動画では、背負投の体勢から両膝を畳につけ、そこを支点にして引き落とすように投げるタイプを紹介しています。一方で、参考書や教科書などでは、「上半身が背負投、下半身が体落」といった使い方の形を紹介しているものも多く見られます。
膝より上（太腿、腰、背中）で相手を持ち上げた場合は、背負投または一本背負投とみなされます。
背負落は、手だけで投げるように見えますが、実際には片膝、もしくは両膝をついた状態を支点として、手で引き落とすように投げる技です。

変化

2013年2月以降、試験的に導入され、後に正式採用されたルール改正により、相手の帯より下を触る脚掴みが禁止されたため、国際ルールにおいては以下の変化技は使用できなくなりました。

外無双

外無双は、相撲の外無双をかけながら背負落を仕掛ける技です。1982年の「講道館柔道の投技の名称」制定に向けて、講道館では新名称の候補に挙がりましたが、背負落の一種として扱われることになり、採用は見送られました。
国際ルールに準拠して行われる2025年の皇后盃全日本女子柔道選手権大会、全日本柔道選手権大会では、上衣掴みよりも遅い脚掴みが解禁されます。ただし、上衣掴みと脚掴みがほぼ同時である場合は、指導の対象となります。しかし、外無双については、補助的に脚に触れているに過ぎないとして、ほぼ同時であっても認められることとなりました。外無双をかけながらの一本背負投は、背負い刈りとなります。

内無双

内無双は、相撲の内無双をかけながら背負落を仕掛ける技です。1982年の「講道館柔道の投技の名称」制定に向けて、講道館では新名称の候補に挙がりましたが、背負落の一種として扱われることになり、採用は見送られました。

分類と名称

2011年にライターのウン・ヨウのブログで、日本人が背負投の逆背負投を「逆背負落」と呼ぶのに対し、ニール・アダムスは「Reverse Seoi Nage」（逆背負投）と呼んでいたことが紹介されています。ウン・ヨウは、多くの場合、仰向けに転がすドロップ技であるため「逆背負落」の方が適切である一方、相手を跳ね上げて仰向けに投げる場合は「逆背負投」の方が適切であると述べています。

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