胡昭

胡昭（こ しょう）

胡昭（162年 - 250年）は、後漢末期から三国時代の魏にかけて生きた人物です。字（あざな）は孔明（こうめい）。豫州（よしゅう）潁川郡（えいせんぐん）の出身です。後漢末の動乱期に、その才能を惜しまれながらも、仕官を拒み続けた隠逸の士として知られています。

生涯

後漢末の混乱を避けるため、胡昭は各地を転々としました。当時、力を持っていた袁紹（えんしょう）や、後の魏の礎を築く曹操（そうそう）から度々招聘を受けましたが、いずれも丁重に断り、仕官することはありませんでした。彼は官位や名声よりも、自らの信念を貫き、静かに暮らすことを望んだのです。

最終的に、胡昭は故郷である陸渾（りくこん）の山中に居を構え、農耕を行いながら読書に耽る日々を送りました。その人柄は非常に篤く、村人や地方官吏から深く尊敬されました。逸話として、関羽（かんう）の名を騙り反乱を起こした賊でさえも、胡昭に対しては敬意を払い、略奪などを行わなかったと伝えられています。これは、胡昭の人徳がいかに広範囲に及んでいたかを物語るエピソードと言えるでしょう。

魏王朝が成立した後も、王朝は胡昭の才能を高く評価し、彼に対する招聘を続けましたが、胡昭は生前、最後までそれに応じることはありませんでした。彼の固辞の姿勢は、名利に囚われず、自らの理想を追求する生き方を示しています。

胡昭の死後、彼の息子である胡纂（こさん）は、父とは異なり、魏王朝からの招聘に応じ、郎中（ろうちゅう）という官職を拝命しました。子の胡纂が仕官した背景には様々な理由が考えられますが、父である胡昭の生き様とは対照的な選択となりました。

出典

胡昭に関する記述は、以下の史書に見られます。

陳寿（ちんじゅ）『三国志』（さんごくし）巻11 魏書（ぎしょ） 管寧（かんねい）伝付 胡昭伝
皇甫謐（こうほひつ）『高士伝』（こうしでん）

関連項目

* 中国の書家一覧

胡昭は、政治的な混乱期にあって、自らの信念を貫き、隠遁生活を選んだ人物として、後世に語り継がれています。彼の生き方は、現代においても、私たちが生き方を考える上で、多くの示唆を与えてくれるでしょう。

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