管寧

管寧（かん ねい）

管寧（158年 - 241年）は、後漢末期から三国時代の魏にかけて生きた学者で、字は幼安といいました。青州北海郡朱虚県（現在の山東省濰坊市臨朐県）の出身で、その生涯は『三国志』魏志に記されています。

生涯

16歳で父を亡くした管寧は、裕福な母方の親戚からの香典を固辞し、自力で質素な葬儀を行いました。成長すると身長は八尺に達し、立派な髭を蓄えるようになったといいます。

平原の華歆、同郷の邴原と共に各地を遊学し、陳寔に師事しました。その後、戦乱を避けて遼東太守の公孫度の元へ邴原や王烈らと避難しました。公孫度は彼らを歓迎しましたが、管寧らは山中に庵を結び、そこで生活を送りました。

曹操が司空となると管寧を招聘しましたが、公孫康はこれを伝えませんでした。中原が安定すると、遼東からの帰郷者が相次ぎましたが、管寧は遼東に留まりました。

黄初4年（223年）、魏で賢人を求める詔勅が出されると、司徒となっていた華歆が管寧を推挙しました。曹丕（文帝）の招聘に応じ、管寧は故郷へ帰ることになりました。公孫恭は郡境の南まで見送り、衣服や器物を贈りましたが、管寧はこれらを全て封印し、送り返したといいます。

太中大夫に任命されましたが、管寧は辞退しました。曹叡（明帝）が即位すると、太尉の華歆が自分の官位を譲ろうとしましたが、曹叡は管寧を光禄勲に任命するよう詔勅を下し、青州刺史にも彼を招聘させようとしました。しかし、管寧は上書して感謝の意を示しつつ、これも辞退しました。

黄初年間から青龍年間にかけて、度重なる招聘と辞退を繰り返しました。曹叡が青州刺史の程喜に管寧の消息を尋ねさせたところ、程喜は老いによる衰えを理由に挙げました。

正始2年（241年）、太僕の陶丘一、永寧宮衛尉の孟観、侍中の孫邕、中書侍郎の王基らが管寧を推挙しました。車や贈り物が届けられましたが、管寧は老衰のため84歳で死去しました。

人物

管寧は、華歆、邴原と共に「竜」に例えられ、それぞれ竜の頭、腹、尾と評されました。華歆の人格を卑しんで絶交した逸話（割席断交）は有名で、『三国志演義』にも採用されています。また、同じく遼東に避難した王烈も当時名声が高かったものの、管寧には及ばないと評されました。

『傅子』によると、管寧は春秋時代の斉の宰相・管仲の末裔であるとされています。斉で田氏が台頭した後、管一族は斉を離れ、魯や楚に移住しました。管寧の九代前の先祖である管少卿が、燕の令として初めて朱虚に土着したと伝えられています。

公孫度と初めて会見した際、管寧は世俗的な話はせず、経典の話のみをしました。山中に住む彼の元には避難民が集まり、ついには町が形成されました。管寧は学者として振る舞い、学者とのみ交流したため、公孫度は安心し、人民は彼の徳に感化されたといいます。その結果、近隣での争いが途絶えたという逸話が『高士伝』に記されています。

邴原は剛直な性格であったため、公孫度ら為政者との関係が緊張することがありましたが、管寧は彼に処世術を教え、密かに故郷へ帰らせました。

公孫康が郡を支配するようになると、王を称する野心を抱き、管寧の名声を利用しようとしましたが、管寧の徳の高さに圧倒され、明確な態度を示せなかったといいます。

管寧が公孫恭の元を去る頃、公孫淵が野心家であったため、公孫淵が公孫恭から位を奪い、天下に争乱を起こすと予期しました。その予感は的中し、遼東では多くの死者が出ました。管寧が海路を進んだ際、暴風雨で他の船が沈没する中、彼の船だけが無事で、光に導かれて無人島に避難できたという逸話も残っています。

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