胡海

胡海（こ かい）

胡海（1329年 - 1391年）は、元末から明初の時代に活躍した武将です。字は海洋（かいよう）といい、定遠（現在の安徽省定遠県）の出身です。朱元璋に仕え、明の建国に大きく貢献した功臣として知られています。史書では胡海洋とも記されています。

生涯

胡海は非常に勇敢な人物で、その身体には無数の傷跡がありました。幾度となく戦場を駆け抜け、数多くの激戦を経験しましたが、その度に勇敢に戦い抜きました。配下の兵士たちは皆、胡海の勇猛な戦いぶりに鼓舞され、彼に従いました。朱元璋は胡海の勇敢さを高く評価していたと伝えられています。

当初、胡海は赤塘の土豪である王総管に仕えていましたが、自らその下を離れ、朱元璋に仕官しました。朱元璋は彼に百戸の位を与えました。1353年には定遠攻略に参加した24将の一人として活躍し、元の将軍・賈魯を破るなどの戦功を挙げました。その後も、泗州や滁州の攻略で万戸に昇進しました。

1355年6月には、長江を渡り、蛮子海牙の水寨や陳埜先を打ち破りました。1356年3月には、集慶（現在の南京）や鎮江を攻略し、1357年4月には先鋒として元の将軍・謝国璽を寧国で破りました。さらに、大軍を率いて湖州を包囲し、東南門の月城を陥落させるなど、各地で目覚ましい戦果を挙げました。

1358年10月には、宜興や婺州を攻略し、紹興では400人以上の捕虜を得て、都先鋒に進みました。1360年5月には、龍江や安慶を攻略し、1361年8月には八戦全勝で江州に入りました。1364年7月には、徐達に従い廬州を攻め、花槍上千戸の位を授けられました。その後、荊州、澧州、衡州、潭州を攻略し、宝慶衛指揮僉事に抜擢され、指揮使として益陽を守備しました。

1367年10月、楊璟に従って湖南・広西の未降伏の地域を征伐し、永州を包囲しました。1368年1月には、東郷橋で元軍と戦い、千人の捕虜と4人の武将を捕獲、夜間の戦闘で東郷橋を突破しました。永州の守将・鄧祖勝との戦いでも2人の武将を捕らえました。同年4月、楊璟の命により塁壁を築き、西江に浮橋を建設、兵士を訓練し士気を高めました。永州城内が食糧不足に陥ると、守将の鄧祖勝は毒を飲んで自害、参政・張子賢が守備を引き継ぎました。百戸の夏升が楊璟に降伏し、城内の情報を得た楊璟は、夜間に総攻撃をかけました。胡海は北門の八角亭で先頭に立って戦い、張子賢や元帥の鄧思誠らを捕らえ、同年6月には靖江を攻め、南門で皮彦高や楊天寿らを捕らえました。この功績により、左副総兵に任命されました。

1371年1月には、夏国討伐に参加し、周徳興と共に天門山や温湯関を攻略、世襲指揮使となり、再び益陽を守備しました。武岡、靖州、五開の苗族が反乱を起こすと、その鎮圧に尽力し、都督僉事となりました。1381年9月には雲南征伐に参加し、郭英や陳桓と共に5万の兵を率いて、烏撒を攻略。1382年2月には沐英と合流し大理を攻めました。上関と下関を押さえる敵軍に対し、王弼が上関を、沐英が下関を攻める中、胡海は夜間に石門を攻略し、蒼山に旗を立てて沐英軍を鼓舞し、敵軍を打ち破り、敵将の段世を捕らえました。

1384年4月、その功績により東川侯に封じられ、2千5百石の禄を賜りました。1387年1月には右参将としてナガチュ討伐に参加し、金山を攻めました。1389年には澧州の九渓諸蛮を鎮圧し、帰郷を願い出て、多くの金品を賜り故郷に帰りました。1390年1月には澧州で反乱が起こり、総兵官として鎮圧に当たりました。1391年7月、63歳で亡くなりました。胡海は朱元璋による功臣粛清の難を逃れ、死後もその爵位を剥奪されることはありませんでした。

参考文献

『明史』　巻1　本紀第1 太祖1
『明史』　巻2　本紀第2 太祖2
『明史』　巻3　本紀第3 太祖3
『明史』　巻130　列伝第18　胡海
『明史紀事本末』　巻4　太祖平呉
『明史紀事本末』　巻7　平定両広
『明史紀事本末』　巻10　故元遺兵
『明史紀事本末』　巻11　太祖平夏
* 『明史紀事本末』　巻12　太祖平滇

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