周徳興

周徳興の生涯

周徳興（しゅう とくこう、生年不詳 - 1392年）は、元末から明初の時代に活躍した軍人です。彼は明の太祖である朱元璋（洪武帝）と同郷であり、若い頃から親交がありました。朱元璋が台頭すると、周徳興は彼に従い、各地の戦でその武勇を発揮しました。

初期の戦功

周徳興は、朱元璋と共に滁州や和州を攻略し、長江を渡って数々の戦功を挙げました。その功績が認められ、左翼大元帥に任命されました。その後も、金華、安慶、高郵といった重要な拠点を次々と攻略し、安豊の救援や廬州の征討にも参加、指揮使に昇進しました。さらに、贛州、安福、永新を攻撃し、吉安を陥落させるなど、各地で目覚ましい活躍を見せました。その後、湖広行省左丞に進み、軍事面での責任を担いました。

広西平定

1367年、周徳興は楊璟と共に広西に進攻し、永州を攻撃しました。元の将軍である阿思蘭と周文貴が全州から援軍として現れると、周徳興はこれを撃退し、朱院判を討ち取りました。さらに追撃を続け、全州を攻め落としました。その後、道州、寧遠、藍山を平定し、武岡州を攻略しました。分兵を各地に配置し、静江からの援軍を遮断するなど、広西平定に大きく貢献しました。

江夏侯に封じられる

広西平定における多大な功績が認められ、1370年、周徳興は江夏侯に封じられ、世襲の権利を与えられました。しかし、その年に慈利の土官である覃垕が反乱を起こすと、周徳興は征南将軍として鎮圧に当たり、長沙の苗族の反乱も鎮めました。

夏の討伐と更なる功績

1371年、周徳興は湯和の副将として夏を討伐し、保寧を攻略しました。傅友徳が先に階州・文州を攻略していましたが、湯和率いる水軍はまだ進発していませんでした。保寧が陥落したことで、両軍は合流を果たすことができました。夏の平定後、その功績は湯和の功績とみなされるほど、周徳興の働きは大きかったとされています。1372年には、鄧愈の副将として征南左将軍となり、南寧に進出して、婪鳳州、田州、安平州の少数民族の反乱を鎮圧、泗城州を攻略しました。

権勢と晩年

周徳興は、朱元璋との旧友という関係を頼りに、規定を超える大規模な邸宅を建設しました。御史からその罪を弾劾されましたが、朱元璋の特別の計らいで許されました。1380年には福建の軍務を監督しましたが、後に京師に召還されました。1381年には五渓の少数民族の反乱を鎮圧、四川の反乱も鎮圧しました。1385年には楚王朱楨の副将として思州五開の少数民族の反乱を討伐しました。湖南に長く駐留し、湖南の兵を多く任用し、武昌など15衛を平定、1年で44800人の兵を訓練したと伝えられています。荊州では灌漑施設を整備し、年間の税収を4300石増加させました。故郷に帰る際には、黄金や白金、織物を賜りました。1387年には福建で倭寇対策の城を築き、その後、鳳陽留守司を節制し、属衛の軍を訓練しました。明の建国勲臣の中で、周徳興は最高位に位置付けられていました。

悲劇的な最期

しかし、1392年、周徳興の息子である周驥が宮中を乱した罪に問われ、周徳興も連座して処刑されました。明建国に多大な功績を挙げた武将でありながら、その生涯は悲劇的な結末を迎えることとなりました。

周徳興は、その優れた軍事的手腕と、朱元璋からの厚い信頼により、明の建国と発展に大きく貢献しました。しかし、晩年には息子の罪によって全てを失い、その生涯は波乱に満ちたものでした。彼の功績と悲劇的な最期は、後世に語り継がれています。

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