胤栄

胤栄

胤栄（いんえい、1521年 - 1607年）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての興福寺の僧侶であり、武術家としても名を馳せました。覚禅坊とも呼ばれ、奈良の興福寺の子院である宝蔵院の院主を務め、宝蔵院流槍術の祖として知られています。

生涯

胤栄は、興福寺の衆徒である中御門胤永の次男として生まれ、後に宝蔵院に入りました。若い頃から刀や槍の武術を好み、剣術では柳生宗厳と共に上泉信綱から新陰流兵法を、槍術では大膳大夫盛忠から、そして香取神道流を大西木春見から学んだとされています。

胤栄は、柳生宗厳や穴沢浄見らと共に、宝蔵院流槍術の基本となる表15か条の形を作り上げました。宝蔵院流は、十文字鎌槍の利点を最大限に生かし、多様な攻防を可能とする画期的なものでした。

彼の門弟には、中村尚政、高田又兵衛、可児才蔵などがおり、特に中村尚政は後に将軍・徳川家光の前で三度にわたりその技を披露しました。これにより、宝蔵院流槍術の名声は大いに高まりました。

晩年、胤栄は僧侶が武事に関わることを良しとせず、後継と定めた胤舜に対し、宝蔵院内で武芸を習うことを禁じました。そして、自身の武具は全て高弟である中村尚政に与えたと伝えられています。

慶長12年（1607年）8月26日、胤栄は87歳でその生涯を閉じました。彼の創始した宝蔵院流槍術は、その後も多くの人々に受け継がれ、日本の武道史にその名を刻んでいます。

脚注

注釈

出典

関連項目

漫画
バガボンド（井上雄彦） - 漫画作品。

外部リンク

宝蔵院流槍術
寳藏院胤栄法師大格之傳 - ウェイバックマシン（2008年3月22日アーカイブ分）

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