胥吏

胥吏とは

胥吏（しょり）は、旧体制の中国や朝鮮において、庶民でありながら官吏の業務を担った人物を指します。この用語は、正規の官僚と対比されるもので、両者を合わせて「官吏」と呼ばれました。

中国における胥吏の歴史

中国における胥吏の用語は、南北朝時代後期、特に梁の時代に初めて使われました。隋代にその制度が整い、唐代には「流外官」として知られるようになります。宋代には科挙制度の定着と共に胥吏も制度化され、清朝までその存在は続きました。

胥吏の任用は、各地方の官庁が民間から希望者を募る形で行われ、庶民の地位にありながらも、役人としての職務を果たしました。このため、彼らは徭役として扱われ、俸禄は支給されず、最低限の経費が支給されるにとどまりました。

胥吏の職務とその影響

胥吏には明確な職務体系が存在し、胥吏頭は徒弟制度によって下級の胥吏を育てる仕組みを持っていました。とはいえ、胥吏は給料を受け取らず、実際には庶民から手数料を徴収することで生計を立てていたため、それが「規例」や「陋規」と呼ばれる非公式な収入となり、時には賄賂のような形で庶民を搾取することとなりました。このような状況に対して、王安石が提案した改革（胥吏に俸禄を支払うなど）は、実施・成功しませんでした。

また、胥吏頭には任期が設定されており、この任期が終了すると、職を辞する必要がありました。ただし、その権利を私的に譲渡することが可能であったため、胥吏頭からの再任が多く見られました。地域によっては、同族や地縁的な集団が胥吏を独占する事例も見られ、権力集中が進行することとなります。こうした体質は人民に対し深刻な影響を及ぼし、旧体制の負の側面として指摘されています。

朝鮮における胥吏

朝鮮では、高麗時代に地方の豪族が胥吏として任命されましたが、中央集権体制が確立されるとその地位が低下します。李氏朝鮮時代には、胥吏は賎民として扱われ、特殊な服装の着用が強制されました。俸禄を受け取ることができなかったことから、不正や収奪が横行するようになりました。朝鮮では胥吏は「吏属」や「衙前」とも呼ばれました。

結論

このように、胥吏は歴史的に中国と朝鮮で特有の役割を果たしてきましたが、彼らの存在は腐敗や不正の温床となりがちでした。胥吏制度は、旧体制の問題点を示す象徴的な存在として、今日でもその影響が語られています。

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