脇坂安斐

脇坂安斐：激動の幕末維新を生き抜いた龍野藩主

脇坂安斐は、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した大名です。播磨国龍野藩の第10代にして最後の藩主であり、龍野藩脇坂家12代当主という重要な役割を担いました。維新後には知藩事を務め、子爵にも叙せられています。

安斐は天保10年（1839年）、伊勢国津藩主・藤堂高猷の四男として誕生しました。龍野藩9代藩主・脇坂安宅の嫡男が幼少であったため、安政5年（1858年）、安宅の養子として迎え入れられます。そして文久2年（1862年）、安宅の隠居に伴い、家督を相続することとなりました。

脇坂家は譜代大名として幕府に忠実な家柄でした。そのため、安斐も佐幕派として政治活動を行い、摂津国の海防警備などを担当しています。幕府が主導した長州征伐にも参加しており、元治元年（1864年）の第一次長州征討、慶応2年（1866年）の第二次長州征討に幕府軍の一員として参戦しました。しかし、安斐の長州征伐への姿勢は消極的なものであったと伝えられています。特に第二次長州征伐では、病気という理由で出兵を辞退したとされています。

慶応4年（1868年）に勃発した戊辰戦争では、情勢を見極め、新政府軍に恭順しました。姫路藩の攻撃や会津戦争など、激動の戦乱の中で、自藩の存続と安定に尽力したと考えられます。

明治維新後、版籍奉還により龍野藩知事に任命された安斐は、藩の近代化に尽力しました。藩の職制改革など、新たな時代の要請に応えるべく様々な改革に取り組んだとされています。しかし、明治4年（1871年）の廃藩置県により、知藩事を免職されました。その後、明治17年（1884年）に華族令によって子爵に叙せられ、華族として余生を過ごしました。

明治41年（1908年）、70歳で生涯を閉じました。安斐の生涯は、激動の幕末維新期を生き抜き、大名から華族へと変貌していく時代の流れの中で、自らの立場を変化させながら、常に時代の変化に対応しようとした、興味深い人生であったと言えるでしょう。龍野藩最後の藩主として、その功績は現代においても評価に値するものです。脇坂家の歴史において、重要な転換期を担った人物として、安斐の生涯は研究に値する歴史的意義を持つと言えるでしょう。彼の決断や行動は、日本の歴史における重要な一端を担っていると言えるでしょう。

もう一度検索