脇本城

脇本城

脇本城は、秋田県男鹿市に所在する中世の山城であり、国の史跡としてその価値が認められています。この城は、中世に津軽地方を拠点とした豪族、安東氏の重要な居城の一つとなりました。

概要

築城時期については明確な記録が残っていませんが、元弘4年（1334年）頃、鎌倉幕府の北条氏に属する武士によって築かれたという説があります。康正2年（1456年）には、安東政季が男鹿半島に進出し、脇本城を拠点としたと考えられています。

天正5年（1577年）、檜山安東氏と湊安東氏を統一した安東愛季は、嫡男である安東業季に家督を譲り、自らは脇本城を隠居城とするために大規模な改修工事を行いました。しかし、天正18年（1590年）の豊臣秀吉による奥州仕置後、慶長7年（1602年）の佐竹氏による秋田城築城までの間に、脇本城は廃城になったと考えられています。

平成16年（2004年）には、城跡が国の史跡に指定され、その歴史的価値が保護されることとなりました。さらに、平成29年（2017年）には、続日本100名城に選定され、全国的な知名度も高まっています。

構造

脇本城は、男鹿半島から日本海を望む丘陵地に築かれた山城で、その広さは150ヘクタールにも及びます。標高約100メートルの丘陵地形を巧みに利用し、土を主体とした構造で築かれており、石垣は見られません。城内には、現在、菅原神社、本明寺、萬境寺が鎮座しており、地域住民の信仰の場ともなっています。城の中央を古くからの街道である「天下道」が通り、その道を挟むように曲輪が配置されています。天下道は中心部を通る道幅が狭く、竪堀や土塁、虎口などが設けられており、防御機能も考慮された構造となっています。中心部は、連郭式の山城が二つ組み合わさったような形状をしています。また、生鼻崎と呼ばれる場所は、江戸時代の地震によって一部が崩壊したと伝えられています。

遺構

城跡には、多数の曲輪、土塁、空堀、井戸跡などの遺構が確認されています。また、虎口も確認されており、発掘調査では当時使用されていた陶磁器などが出土しています。近年では、地域ボランティアの尽力により、城跡の草刈りなどが行われており、遺構が見学しやすい状態に保たれています。

アクセス

脇本城へのアクセスは、JR男鹿線脇本駅から徒歩約35分です。

まとめ

脇本城は、安東氏の歴史と、男鹿半島の自然が融合した、魅力あふれる山城です。国の史跡であり、続日本100名城にも選定されているこの城は、歴史ファンだけでなく、自然を愛する人々にもおすすめのスポットです。男鹿半島を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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