脇田晴子

脇田晴子: 日本の歴史学者

脇田晴子（わきた はるこ、1934年3月9日 - 2016年9月27日）は、日本の歴史学界で著名な存在であり、滋賀県立大学の名誉教授として広く知られています。彼女は中世における商工業や都市、女性史、芸能史の研究を進め、特に中世商業発達に関する研究で高い評価を得ました。文化功労者に選ばれ、さらに文化勲章も2010年に受章しており、その業績は多くの人々に影響を与えています。

生い立ちと教育

脇田晴子は兵庫県西宮市で生まれました。大学では神戸大学の文学部史学科を卒業し、その後、京都大学の大学院文学研究科博士課程に進学。1969年には「中世商工業座の構造」という学位論文をもって文学博士の称号を取得しました。

学術キャリア

彼女の学術キャリアは、1956年の神戸大学卒業から始まり、1967年に京都橘女子大学に助教授として就任。その後、1981年には教授となり、さらには鳴門教育大学や大阪外国語大学、滋賀県立大学でも教授を務めました。2004年からは城西国際大学の大学院人文科学研究科客員教授として多様な研究活動を展開しました。2007年には石川県立歴史博物館の館長としても活躍しました。

研究活動

脇田晴子は中世史を中心に、商工業や都市論、さらには女性史や芸能史をも研究しました。彼女の業績の一つとして、網野善彦の方向性に対抗し、遊女の地位についての多角的な論争を展開しました。また、外国の日本学者との共同研究も多く行い、国際的な視野を持った研究者でもありました。

彼女は1996年から2004年にかけて、石見銀山遺跡に関する調査や国際文化遺産登録のための推薦書作成に携わりました。特に、中世商工業の視点から地域の環境問題に取り組み、植林活動をしたことで、自然環境との調和や土砂災害の軽減を図るなど、持続可能な発展に貢献しました。

また、彼女の女性史研究への貢献を評価し、2005年には女性史学賞を設立しました。この賞は、女性史の発展に寄与する優れた著作に贈られています。

受賞歴と主な著作

脇田晴子の研究は多くの受賞歴によっても証明されています。2003年には『日本中世被差別民の研究』で角川源義賞を受賞し、続く文化功労者や文化勲章の受章は、彼女の卓越した学問的業績を示しています。

彼女の著作には『日本中世商業発達史の研究』や『室町時代』、さらに『中世に生きる女たち』などがあり、いずれも中世史における重要な文献として広く読まれています。また、共編著として『ジェンダーの日本史』や『Women and Class in Japanese History』などもあり、多様な視点から歴史を探求しています。

結論

脇田晴子は、日本の歴史学において特に中世の研究に多大な影響を与えた学者であり、その業績は彼女の専門分野を超えて多方面に広がっています。彼女の研究は、女性の視点からの歴史理解を深め、今後の研究にも大きな影響を与え続けることでしょう。

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