脇町南町

概要

脇町南町は、徳島県美馬市に位置する、歴史的な町並みが残る地区です。吉野川沿いの山あいに位置し、江戸時代中期から昭和初期にかけて建てられた、85棟もの伝統的な建造物が立ち並んでいます。特に目を引くのは、各家屋に設けられた「うだつ」です。これは、隣家からの火災を防ぐための防火壁で、漆喰で塗り固められ、重厚な印象を与えます。

「うだつ」は、単なる防火壁としてだけでなく、家の格式を示す装飾としても重要な役割を果たしました。その数は約50個にも及び、厚い白壁、寄せ棟造り、本瓦葺きの屋根、そして正面を向いた鬼瓦とともに、独特の景観を形成しています。また、格子造り、蔀戸、虫籠窓なども、この町並みの特徴として挙げられます。この歴史的な景観を保護するため、市と住民が協力して保存活動に取り組んでおり、近世・近代の美しい景観がそのまま残されています。

歴史

かつて脇町の中心であった南町は、明治以前には主要な通りとして賑わっていました。1585年、徳島藩主となった蜂須賀家政は、家老の稲田植元をこの地に派遣し、地域の産業振興に力を注ぎました。稲田は、吉野川の舟運、撫養街道、讃岐国へ通じる街道が交わるという地の利を生かし、各地から商人たちを呼び寄せ、阿波藍の生産を奨励しました。これにより、藍商を中心とした商人の町として発展しました。

江戸時代には、阿波藍の集散地として大いに栄え、18世紀初頭以降の民家遺構が多く残されています。最も古いものは1707年の棟札を持つ町家です。江戸時代から明治時代中期にかけて、豪商たちは「うだつ」を家の格式として競い合うように建て、この通り沿いに屋敷が立ち並びました。明治時代後期には、化学染料の登場によって藍作は衰退しましたが、養蚕業が盛んになり、繭商や製糸業で賑わいを取り戻しました。

1986年には「日本の道100選」に選ばれ、1988年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

施設

脇町南町には、歴史的な町並みに調和した様々な施設があります。

未来工房（和傘工房と美馬観光ビューロー本社）
まひるの月（カフェ・喫茶）
ワタル珈琲
雑貨うだつや
のどけや本館（宿泊所）
BROMPTONSTATION（自転車のレンタル）
小野五平生家
心の甘味処ふるる庵
お茶処 茶里庵（さりあん）
吉田家住宅 - 藍商の暮らしを伝える施設
阿波踊り竹人形の里 時代屋
PUNTA（イタリア料理）
油問屋
小川鮮魚店
ペイサージュ モリグチ（宿泊所）
共同井戸
珈琲処 角屋
正木酒食品店
元脇町立図書館
脇町郷土資料館
うだつ稲荷
落久保の屋台の収蔵庫
野崎呉服店
うだつ上がる（複合店舗）
西野商店米麹部
脇町劇場（オデオン座）


南側には、うだつemon茶房、観光交流センター、藍蔵（喫茶・みやげもの）、船着場公園、道の駅藍ランドうだつなどがあります。

メディア

2013年1月18日には、BSジャパンの番組「百年の町なみ」で紹介されました。

交通

徳島自動車道、JR四国徳島線穴吹駅、美馬市営バスが利用可能です。

周辺

周辺には、重要文化財に指定されている旧長岡家住宅、萩の寺として知られる最明寺、あんみつ館、デ・レイケ公園、美馬市地域交流センターなどがあります。

脇町南町は、歴史と文化が息づく、訪れる人々を魅了する場所です。

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