脊柱管

脊柱管とは

脊柱管は、脊椎を構成する椎骨の椎孔が連続して形成する管状の空間です。この空間は、頭蓋骨の下部にある大後頭孔から始まり、仙骨内で終わる細長いトンネルのような構造をしています。脊柱管は、脊髄や脊髄神経といった重要な神経組織を収容し、外部からの衝撃から保護する役割を果たします。

脊柱管の構造

脊柱管の構造を理解するためには、椎骨の水平断面を観察すると分かりやすいです。椎骨を横から切断すると、脊柱管はほぼ円形に見えます。この円形の空間は、椎骨の椎孔が連続してできたものです。椎骨の後方には棘突起、両外側には横突起があり、前方には椎体が存在します。脊柱管の内部では、脊髄が大部分を占めており、その周囲を軟膜、クモ膜下腔、クモ膜、硬膜、内椎骨静脈叢を含む結合組織、そして椎骨の骨膜が層状に包んでいます。

骨膜は椎骨に密着しているため、脊柱管の内壁を形成します。脊髄と硬膜の間には、クモ膜下腔が存在し、そこには脳脊髄液が満たされています。

歯状靭帯

脊髄の外側からは、脊髄神経の前根と後根の間から、歯状靭帯という一対の靭帯が出ています。歯状靭帯は、クモ膜下腔とクモ膜を貫通し、軟膜と硬膜を結びつけることで、脊髄を硬膜内で安定させ、動きを制限する役割を果たします。歯状靭帯は、軟膜に沿って細長い線状に付着し、脊柱管に沿って薄い膜状に伸びています。硬膜側では、尖った形状で一定の間隔を空けて付着しており、その形状が鋸の歯に似ていることから「歯状」と名付けられました。この歯状靭帯は、脊柱管全体に片側約20箇所ほど存在します。

脊髄神経の出口

脊髄神経は、前根と後根が合わさって、椎骨と椎骨の間にある椎間孔から脊柱管を出ます。椎間孔は、隣り合った椎骨の突起が合わさることで形成される隙間です。椎間孔を出た脊髄神経は、すぐに脊髄神経節を形成し、そこから前枝と後枝に分かれてそれぞれの支配領域へと向かいます。脊髄神経の出口は、神経根が脊髄から出た位置よりも下方にあります。特に、下位の脊髄神経ほどこの差は大きくなり、腰椎の椎間孔から出る脊髄神経の根は、かなり上から長い距離を下ってきています。そのため、脊髄自体は第2腰椎付近の高さで終わりますが、その下にも脊髄神経の根が馬尾と呼ばれる束を形成して、下方の出口へと伸びています。

椎間板との関係

隣り合う椎骨の椎体は、椎間板と呼ばれる軟骨組織によって隔てられています。椎間板は、椎間孔の高さに近い位置にあり、脊柱管の前壁の一部を構成しています。

注意点

脊柱管の構造は、脊椎の部位によって異なります。より詳細な情報については、頚椎、胸椎、腰椎、仙椎の各項目を参照してください。

関連項目

* 腰部脊柱管狭窄症

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