臓器提供意思表示カード

臓器提供意思表示カードとは

臓器提供意思表示カードは、日本において、臓器移植法に基づき、臓器提供に関する自己の意思を表明するためのカードです。これは、日本臓器移植ネットワークによって発行され、一般的にドナーカードとも呼ばれています。

カードの概要

このカードを使用することで、以下の3つの意思を示すことができます。

脳死判定に基づいて脳死後に臓器を提供すること
心臓死後に臓器を提供すること
臓器提供を行わないこと

意思表示は、カードだけでなく、健康保険証や運転免許証に貼付できるシールによっても可能です。カードは、全国の郵便局、都道府県庁、運転免許試験場、市区町村役場、保健所、コンビニエンスストアなどで無料で入手できます。自分でカードに必要事項を記入し、財布や運転免許証、健康保険証などと一緒に携帯することで、意思表示が完了します。特に届け出や登録は不要です。

また、カードと同一の文面であれば自作の意思表示書も有効とされますが、形式や文章を大幅に変更すると無効となる場合があるので注意が必要です。

近年では、意思表示欄付きの保険証や、日本臓器移植ネットワークの公式サイトでインターネットを通じて意思表示を登録できるなど、意思表示の手段は多様化しています。さらに、2010年10月21日以降に発行された運転免許証の裏面には、臓器提供意思を記載する欄が設けられています。

臓器移植に関する法的背景

2010年7月17日以降、日本では脳死移植が家族の同意によって認められるようになりました。それ以前は、脳死移植に関する生前の意思表示は「遺言の一種」と解釈され、15歳以上であればカードを所持することで有効とされていました。

臓器提供の現状

日本臓器移植ネットワークの調査によると、臓器移植法が施行された1997年10月から2007年12月までの10年間で、意思表示カードを持っていた死亡者は1397例でした。そのうち脳死による臓器移植が行われたのは63例にとどまりました。残りの1334例が提供に至らなかった理由としては、カードの記載不備による意思表示の不明確さ(376例)、脳死判定ができない病院であった(475例)、家族の同意が得られなかった(219例)などが挙げられます。

提供可能な臓器

臓器提供は、脳死後と心臓死後の二つの状況で可能であり、それぞれ提供できる臓器が異なります。

脳死後

心臓
肺
肝臓
腎臓
膵臓
小腸
眼球

心臓死後

腎臓
膵臓
眼球

まとめ

臓器提供意思表示カードは、臓器移植医療において重要な役割を担っています。このカードを通じて、自己の意思を明確にすることで、臓器提供を必要としている人々の命を救う可能性が広がります。カードの入手・記載は簡単であり、臓器提供に関する意思を表明する上で非常に有効な手段です。

参考資料

相川厚『日本の臓器移植 ー 現役腎移植医のジハード』河出書房新社、2009年。ISBN 9784309244785。

関連項目

日本臓器移植ネットワーク
移植 (医療)
臓器の移植に関する法律
アイバンク
骨髄バンク
ACジャパン

外部リンク

* 臓器移植・提供を知りたい方へ > 意思表示の方法 - 日本臓器移植ネットワーク

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