自主憲法論

自主憲法論

自主憲法論（じしゅけんぽうろん）とは、日本の現行憲法である日本国憲法（昭和憲法）を無効または不備があったとの見解から、日本独自の新しい憲法を議論し、制定を目指す政治思想のことです。この主張は、主に保守系の政治勢力や団体に支持される傾向があります。

自主憲法論の背景

自主憲法論は、現行憲法に対する批判が主な基盤となっており、特に憲法9条に記されている戦力及び交戦権の否定についての見直しを求める声が強いです。このような声は、国会内の保守強硬派や右翼団体、民族派の間で広がっています。これらの団体では、戦争がもたらす脅威に対抗するためには、むしろそれを許容する憲法が必要だと主張しています。

また、自主憲法論は単に憲法9条の見直しにとどまらず、人権の絶対保障の否定や非常時における人権制限を伴う国家緊急権の制定、国民に対する義務に関する新たな条項の追加をも含むことが多いです。具体的には、勤労や納税、子どもの教育、さらには国防に参加する義務などが考えられています。さらに、天皇の元首性やその権限、元号の制定、伝統の尊重に関する条項の導入も提案されています。

政党の立場

自由民主党は、自民党結党時から自主憲法制定を掲げており、現在に至るまでその立場を維持している政治勢力が存在します。このような考え方は、憲法改正を自主憲法の制定とみなす立場に基づいています。一方で、左派勢力においては、憲法9条の堅持を強調する発言が多くみられ、特に日本共産党などでは護憲の姿勢が強いことが際立っています。

最近では、日本維新の会から派生した系譜も見受けられ、自主憲法の草案を発表するなどして、保守的な立場を前面に押し出す動きを見せています。ただ、過去には自主憲法論を唱えている地方組織が地方議会で憲法無効論を支持し、議論を引き起こしたこともあります。

自主憲法論の歴史

大東亜戦争（太平洋戦争）の結果、大日本帝国の敗北を受け、その後の憲法のあり方に関して様々な議論が交わされました。昭和憲法がアメリカなどの占領軍による押しつけであると唱えられたのは1950年代初頭からで、その後の自由民主党設立に際しても、現行憲法の自主的改正を目指す姿勢が示されました。

しかし、当時の保守勢力が自身の意向にそぐわない形で議論が進められることで、最終的には彼らの目的は挫折することとなりました。その後、自民党内の保守強硬派が台頭し、1994年には初めての自主憲法草案が発表されるなど、議論が再燃していきました。

現在の主な支持団体

現在、自主憲法論を主張する政党や政治団体には、参政党や新党大地、一水会、日本国民党、維新政党・新風、幸福実現党、日本第一党などが存在します。また、かつて自主憲法を掲げていた政党には、自民党や民進党、旧・日本維新の会、日本のこころ、たちあがれ日本などが挙げられます。

自主憲法論の議論は、今後も様々な政治的背景や社会的状況に応じて変化し続けるでしょう。そのため、国民や政治家間での議論が引き続き重要になっていくことが期待されます。

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