自動オルガン

自動オルガンとは

自動オルガンは、人の手によらず、機械的な機構によって自動で演奏を行うオルガンです。その歴史は古く、パイプオルガンの一種として分類されるものから、ハーモニウム（リードオルガン）のようにリードを用いて音を出すものまで、多様な構造が存在します。初期の自動オルガンは、バレルと呼ばれる回転胴にピンを打ち込み、そのピンがオルガンの弁を操作することで音楽を奏でていました。

バレルオルガンからブックミュージックへ

バレルにピンを配置する方式の自動オルガンは、「バレルオルガン」と呼ばれ、演奏できる楽曲数や演奏時間には限りがありました。しかし、1890年代に「ブックミュージック」という技術が開発されたことで、この制約は解消されました。ブックミュージックは、折り畳み式の紙に穴を開けて情報を記録するもので、これにより、演奏できる楽曲の長さが大幅に拡張され、楽器自体の小型化や操作性の向上も実現しました。

さらに、ブックミュージックの代わりに「ミュージックロール」を使用する自動オルガンも登場しました。ミュージックロールは、巻き取り式の紙に穴を開けて情報を記録するもので、より複雑な演奏を可能にしました。

様々な場所での活躍

自動オルガンは、その自動演奏機能から、レストランやホールなどの公共の場、海外ではカルーセル（回転木馬）やメリーゴーランドなどで使用されてきました。特に、メリーゴーランドの音楽には欠かせない存在であり、アメリカのメリーゴーランドミュージアムには、多くの自動オルガンが展示されています。

ダンスオルガン

自動オルガンの中には、非常に大きなものも存在します。例えば、「ダンスオルガン」と呼ばれるタイプのものは、高さ5メートル、横幅13メートルにも及ぶものがあります。これらは、大規模なダンスホールなどで使用され、迫力のある音楽を奏でていました。

技術の進化

1990年代以降、自動オルガンの演奏制御には、半導体メモリに記録されたデータをMIDIで操作する技術も導入されるようになりました。これにより、より複雑で多様な音楽の演奏が可能になり、現代の技術によってその進化を続けています。

自動オルガンのための楽曲

自動オルガンのために作曲された楽曲も多く存在します。中でも有名なのは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが作曲した以下の作品です。

自動オルガンのためのアダージョとアレグロ K.594 (1790年)
自動オルガンのための幻想曲 K.608 (1791年)
自動オルガンのためのアンダンテ K.616 (1791年)

これらの楽曲は、自動オルガンの持つ独特の音色を生かした、美しい旋律が特徴です。

関連項目

バレルピアノ
バレルオルガン（手回しオルガン）
コンポーニウム
ダンスオルガン
遊園地オルガン
オルゴール
オーケストリオン
ストリートオルガン
ピアノロール
自動ピアノ
セリネット

外部リンク

自動オルガン - オルゴールの小さな博物館（博物館は閉館）
オルゴールと自動演奏楽器

自動オルガンは、機械的な機構によって音楽を奏でるという、独特の魅力を持つ楽器です。その歴史と技術の進化を辿ることで、音楽と機械の関わりの深さを感じることができます。

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