ピアノロール

ピアノロールとは

ピアノロールとは、オルガン式オルゴールや自動ピアノに使用される、演奏情報が穿孔された紙製のロール（巻き紙）のことです。19世紀末から製造され、空気圧を利用して穿孔部分を通してハンマーなどを動作させる仕組みを持っています。

歴史と役割

ピアノロールは、SP[[レコード]]が普及する前の一時期、家庭用音楽再生手段として広く利用されました。専用の機械を使用することで、ピアノ演奏をある程度正確に記録することが可能であったため、ロールは現在のレコードのように商業的に販売されました。20世紀初頭には、作曲家自身が演奏したとされるピアノロールも存在します。

20世紀後半の作曲家コンロン・ナンカロウは、自動ピアノの可能性を追求し、音の長さを計算して自身でロールに穴を開けることで、自動ピアノのための複雑な作品を数多く残しました。

DTMにおけるピアノロール

コンピュータ[[音楽]]（DTM）の世界では、シーケンスソフト上で演奏情報を視覚化する手段として、楽譜表示と並んでピアノロール式の表示が用いられることがあります。これにより、視覚的に音符の位置や長さ、音の高さを確認しながら楽曲を編集することが可能です。

ピアノロールの演奏の真実

ピアノロールの演奏が、本当に演奏家の生演奏をそのまま記録したものなのかという議論は多くあります。初期のSP[[レコード]]時代の演奏家が音階を間違えることがあったのに対し、ピアノロールでは完璧な演奏が記録されていることは不自然であるという指摘があります。ガブリエル・フォーレのロールはありえないほどの速さで演奏されており、パーシー・グレンジャーのロールには連弾でしか達成できない音符が加えられています。

これらの疑問に対する答えとして、「ピアノリスト」と呼ばれる専門の技術者の存在が挙げられます。彼らは、演奏家のパンチングをもとに、ミスタッチを修正したり、演奏速度を調整するなどの編集作業を行っていました。この編集技術は、後のLPやCD時代の演奏技術にも大きな影響を与えました。特に有名なピアノリストとして、レックス・ローソンが知られています。

SP時代にはそのような編集が難しくなったため、ミスタッチはそのまま残ってしまいましたが、「実際の演奏速度より速く」演奏するという編集行為は引き続き行われました。ジェルジ・リゲティは、ユルゲン・ホッカーをピアノリストとして起用し、いくつかの録音をYouTubeで公開しています。イーゴリ・ストラヴィンスキーの「火の鳥」も同様の編集が行われた例として知られています。ストラヴィンスキー自身のピアノ演奏の78回転レコードとピアノロールを比較することで、ロールの編集がどの程度であったかを推測することができます。

ピアノロールの再現性の限界

ピアノロールの再現性において特に問題となったのは、「同音を連打する」ことでした。アップライトピアノでは同音の連打が難しいため、19世紀のピアノ音楽の再現には不向きでした。しかし、スケールは生のピアニストよりも速く演奏できたため、そのような演奏曲目が好んで収録されました。ピアノリストは、演奏家の解釈を大きく修正することはなかったものの、当時のピアニストの演奏が必ずしもイン・テンポではなかったり、速くなったり遅くなったりする演奏特性は、そのまま記録されました。

現代のYamahaのDisklavierでも同音連打の再現能力は疑問視されており、ヤマハが自動ピアノのプロモーションを行った際にも、同音連打を含む楽曲は避けられ、「トリル」で代替されたほどです。ヤニス・クセナキスの「エヴリアリ」も現在のDisklavierの性能をもってしても、遅延が生じることがあります。2016年の技術を持ってしても、ピアニストが同じ箇所を素早く連打する能力は、完全には実現できていないのが現状です。

ピアノロールを使用した人々

様々な会社や人々がピアノロールの製作に関わりました。

QRS Company — James P Johnson, Fats Waller, Zez Confrey, J. Lawrence Cook, Pete Wendling, Victor Arden
Mastertouch Piano Roll Co Australia
US Music Roll Company; Lee Sims, Robert Billings
Imperial — Charley Straight, Roy Bargy
Vocalstyle — Jelly Roll Morton, Walter Davison, Clarence Jones, Luckey Roberts, Cow Cow Davenport
Capitol/Columbia; Jimmy Blythe, Clarence Johnson

外部リンク

music rolls, scores + info
QRS Piano Rolls
Julian Dyer Piano Rolls - new Duo-Art 100% accurate music rolls
Pianola.co.nz - Listen to MIDI files created by scanning player piano rolls
Information about Welte-Mignon
Warren Trachtman's Piano Roll Scanning Information Page
* L. D. Henderson tells a modern roll-arranger's story.

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