自由と正義

自由と正義とは

「自由と正義」（英語名：THE LIBERTY & JUSTICE）は、日本弁護士連合会（日弁連）が毎月発行している機関雑誌です。この雑誌は、日弁連が目的とする、弁護士、弁護士法人、そして弁護士会全体の品位保持や事務の改善・進捗に向けた指導、連絡、監督といった活動を支援するための重要な媒体として位置づけられています。

歴史と名称の由来

本誌の創刊は、昭和25年（1950年）1月1日に遡ります。この時は、「日本辯護士連合會會誌」という名称で刊行されていました。その後、弁護士法の施行からちょうど1年が経過した同年9月号より、現在の「自由と正義」へと誌名が変更されました。新しい誌名の決定にあたっては、日弁連の理事会で選挙が実施されました。「弁護士公論」「自由及正義」「正義」「法と人権」といった候補の中から、「自由と正義」が選ばれています。この改名によって、本誌が第三種郵便物の認可を受けることになったとされています。

読者層と配布方法

「自由と正義」は、日弁連の会員である弁護士や外国法事務弁護士を中心に、裁判所、検察庁、大学の法学部、弁護士出身の国会議員、公共図書館、記者クラブなど、法律・司法関係の様々な機関や個人に毎月配布されています。会員は日弁連の会費の一部として本誌を購読していますが、会員以外の方も有料で購読することが可能です。創刊当初は、日弁連から各単位弁護士会へ一括して送付し、各会から会員へ配布されていましたが、昭和27年（1952年）2月号からは、日弁連が会員等へ直接送付する方式に変更されました。

編集体制

名義上の編集人は日弁連事務総長とされていますが、実際の編集作業は、日弁連内に設けられた編集委員会が主導しています。編集委員会は、本誌掲載用の原稿や広告の募集・依頼、読者の関心を引くような座談会の企画・開催、編集に必要な調査の実施、必要に応じた官公庁への情報照会など、雑誌発行に関わる実務全般を担っています。編集委員は全国の単位会から選出された日弁連会員の中から選任され、定員は20名、任期は2年間です（毎年約半数が改選されます）。委員長は1年ごとに交代します。編集委員会は月に2回開催され、毎回2時間から4時間程度の時間を要するため、日弁連の数ある委員会活動の中でも特に多忙であると言われています。

記事内容

本誌は、毎月特定のテーマに深く切り込む特集記事を中心に構成されており、これに加えて多様なテーマの連載記事が掲載されています。

特集記事

特集では、新しく成立した法令の紹介とその解説、弁護士の実務に直結する法律知識の解説、弁護士が日々直面する様々な実務上の課題などが取り上げられます。一つの特集につき、関連するテーマの論文や有識者による座談会の内容が3件から5件程度掲載されるのが通例です。

主要な連載記事

「自由と正義」には、会員の多様な興味関心に応える様々な連載がラインナップされています。

支部さん歩: 会員が、全国各地にある裁判所支部周辺の観光名所や見どころを、美しいカラー写真と共に紹介する巻頭記事です。通常二色刷りの誌面の中で、特別にカラー印刷で掲載されています。
ひと筆: 弁護士会員が、弁護士業務とは直接関係のない個人的な経験談や趣味、日々の暮らしの中で感じたことなどを自由に綴るエッセイです。毎月掲載される人気連載です。
弁護士任官の窓: 弁護士として経験を積んだ後に裁判官に任官した経験を持つ方が、その道のりや裁判官としての仕事のやりがい、日々の生活などについて語るエッセイです。平成13年（2001年）以降に任官した方が執筆しています。
弁護士しています―弁護士職務経験者の声: 判事補や検事が、その身分を離れて2年間弁護士として実務経験を積む制度を利用した方々によるエッセイです。弁護士の仕事と裁判官・検察官の仕事との違いなど、貴重な視点から記されます。年4回掲載されます。
スタッフ弁護士奮闘記―道しるべになりたくて―: 日本司法支援センター（法テラス）の法律事務所で常勤するスタッフ弁護士が、赴任先の地域の紹介や、法テラスでの多様な業務内容について記すエッセイです。隔月で連載されています。
法曹人の新しいフィールド: 企業やその他の組織内で働く弁護士が、その働き方や組織内弁護士としての役割、キャリアについて紹介するエッセイです。平成23年（2011年）7月に開始され、隔月で掲載されています。
* 弁護士のための新法令紹介: 弁護士業務に関連する重要な新法令のうち、特集とするほどの分量ではないものの、会員が知っておくべきものを紹介する記事です。衆議院法制局が執筆を担当しており、昭和56年（1981年）10月号から続く歴史ある連載です。

懲戒処分公告

「自由と正義」の中で、最も多くの会員が注目し、最初に目を通すと言われているのが、弁護士に対する懲戒処分の公告です。弁護士法により、弁護士の懲戒処分は官報でも公告されますが、官報では処分の種類（戒告、業務停止など）のみが掲載されるに留まります。一方、「自由と正義」では、関連規程に基づき、処分の内容に加えて、その理由の要旨も詳しく記載されます。この理由の要旨の掲載は、事案の詳細を広く会員に知らせることで、他の会員への注意喚起とし、同様の不正行為や不祥事の再発防止に繋げることを目的としており、平成3年（1991年）10月から開始されました。多くの弁護士は、本誌が届くとまず巻末にあるこの懲戒処分公告のページを開くと言われており、中には他の記事には目を通さず、この公告だけを確認するという会員もいるとされるほど、会員にとって極めて関心の高い情報源となっています。

「自由と正義」は、法曹界の最新情報や実務解説から、多様な働き方、そして厳格な規律に関する情報までを網羅することで、弁護士という専門職の活動を多角的に支援し、その質の向上と倫理の維持に貢献する重要な機関雑誌と言えます。

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